タイガー・ウッズ 「ナイキ」と契約終了で気になる今後 “奇抜な”ストリート系ブランドとも台頭

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 今月8日、タイガー・ウッズ(48)が27年間にわたってパートナーシップを結んでいたスポーツブランド「ナイキ」との契約終了を発表した。今後どのブランドのウエアを着用するのだろうか。同じくナイキとの契約を終了し、斬新なストリート系ブランドとの契約を発表したジェイソン・デイ(36)には、思わぬ注目が集まっている。【舩越園子/ゴルフジャーナリスト】

奇抜な出で立ち

 PGAツアーの2024年シーズンが開幕した。昨年は賞金総額2000万ドル 級のビッグ大会は「格上げ大会」と呼ばれていたが、今年からは「シグネチャー・イベント」と名称が改められ、年間8試合が開催される。

 そのシグネチャー・イベントの第1戦で今季の開幕戦となったのが、ハワイ・マウイ島のカパルアCCが舞台となったザ・セントリー(1月4~7日)。そして、優勝賞金360万ドル(約5億2000万円)を手に入れたチャンピオンは、38歳の米国人選手、クリス・カークだった。

 しかし、米国のゴルフファンやメディアの間では、「ザ・セントリーで最も注目を集め、最も話題になったウイナー(勝者)はジェイソン・デイだ」と言われている。4日間72ホールの戦いを制したカークより、少々奇抜な出で立ちで人々の興味と関心を独占したデイのほうが格段に目立っていたのだ。

 デイはオーストラリア出身の36歳。2015年の全米プロ優勝を含むPGAツアー通算13勝を挙げている実力者で、人気選手の一人でもある。彼は2016年から7年間、ナイキのウエアに身を包んできた「ナイキ・ファミリー」の一員だったが、暦が2024年に変わると、ザ・セントリーの試合会場であるハワイのカパルアに見慣れないウエア姿で登場し、周囲を驚かせた。

ストリート系ブランドと異例の契約

 ナイキとの契約が2023年で終了したデイは、今月2日、新たに「マルボンゴルフ」というアパレル・メーカーと契約を交わしたと発表した。

 ゴルフ界では聞き慣れない名前だが、米スポーツイラストレイテッドによると、ステファン&エリカ・マルボンという夫妻が2017年に創業したストリート系ファッションをコンセプトとするアパレル・メーカーだそうだ。マルボン夫妻は「PGAツアー選手と契約を交わしたい」と願い、候補となる選手を探していたところ、デイのナイキ契約が2023年で終了することを知り、彼に打診。両者はすぐさま意気投合し、スムーズに契約を交わすことができたそうだ。

 ステファン・マルボンいわく、「デイのバックグラウンドや彼のイメージとマルボンのコンセプトが見事に一致し、彼こそはマルボンのアンバサダーに最適だと感じている」とのこと。

 幼少期に父親を肺がんで亡くし、その悲しみを受け止めきれなかったデイ少年は、近所の不良グループに仲間入りし、酒、たばこ、ケンカに明け暮れる荒れた生活を送っていた時期があった。

「僕があのままの生活を続けプロゴルファーになっていなかったら、今ごろ刑務所にいたと思う」

 いつぞや、デイ自身がそう振り返ったことがあった。しかし、デイは「あのまま」にはならなかった。父親と一緒に一生懸命に練習していたゴルフを、もう一度頑張ってみようと一念発起。ゴルフ部が強い全寮制のボーディングスクールに入学し、そこでぐんぐん腕を磨いてプロゴルファーになった。

 そんなデイの暗い過去から輝ける現在への歩みが、ストリート系ファッションと噛み合うというのは「なるほど」と頷ける。だが、ゴルフ界、とりわけ一流選手が集結しているPGAツアーで、ストリート系ファッションブランドと契約を結んだのはデイが初である。さらに、マルボンのウエア姿のデイを見た人々は、必ずしも「なるほど」と頷いていたわけではなさそうなのだ。

 SNSには「パンツが太すぎる」「柄がダサい」「シューズのデザインが80年代風」といった感想が噴出。しかし、デイ自身は「とても気に入っている。動きやすいし、スイングもしやすい」と満足している様子である。

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