松本人志 「皆さんへのご挨拶」でさえ放送法に抵触する可能性…活動休止でキー局レギュラー6本に与える影響は

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島田紳助氏の場合は2本打ち切り

 ここで松本にとって吉本興業の先輩に当たる島田紳助氏(67)の引退時を簡単に振り返る。番組の存廃や後任MC選びの目安になる。

 2011年8月、紳助氏は反社会勢力との交際を理由に突如として引退。その時点で在京民放に6本のレギュラー番組があった。

 日本テレビ「行列のできる法律相談所」は継続し、後任MCに吉本興業の後輩・東野幸治(56)が起用された。当時の世帯視聴率は20%超。やはり後輩だった宮迫博之(53)の起用も検討された。

 同「人生が変わる1分間の深イイ話」はレギュラー出演していた羽鳥慎一アナウンサー(52)が司会に昇格した。同約10%。2022年3月に終了した。

 TBS「紳助社長のプロデュース大作戦!」は紳助氏の考えによって、世の役に立つことを行うドキュメント・バラエティだったため、同局は継続困難と判断。打ち切った。同約8%だった。

 テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」は継続。後任司会には吉本の後輩・今田耕司(57)が就いた。同10%超だった。

 フジ「ヘキサゴン2」は紳助氏の引退後も吉本の後輩・藤本敏史(53)やつるの剛士(48)らレギュラー出演陣の司会で3回分放送されたが、その時点で打ち切られた。視聴率は同10%超。

 打ち切られた番組は6本中2本。松本の場合、番組が継続したら、後任はやはり吉本の後輩になるのではないか。各局は普段、番組制作で多大な協力を得ている吉本に気を遣うだろう。また、在京民放キー局、在阪民放準キー局はいずれも吉本の大株主であり、関係が深いという事情もある。

もう収録はなし

 松本はフジの情報バラエティ「ワイドナショー」(日曜午前10時)の1月14日放送分への出演と「週刊文春」への反論をほのめかしていたが、実現しなかった。同番組に限らず、もう新たな収録には参加しない見通し。

 松本は同8日、自身のX(旧Twitter)で「事実無根なので闘いまーす。それも含めワイドナショー出まーす。」とポストした。だが、仮に松本が番組内で反論したら、放送法4条4項に抵触する恐れがあった。フジが許せるはずがない。

 同項はこう定めている。「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」。係争が見込まれる問題について、一方の主張のみ取り上げることは出来ない。

 松本もそれが分かったのか、翌9日に再びXで「ワイドナショー出演は休業前のファンの皆さん(いないかもしれんが)へのご挨拶のため。顔見せ程度ですよ。」と説明。だが、これもグレーゾーン。「皆さんへのご挨拶」が、電波の私的利用と指摘されかねないからだ。結局、出演はなくなった。

 松本の番組を各局は収録済み番組のものに限って放送する方向。もっとも、ストックは限られている。テレビ界のど真ん中にいた松本が、間もなく画面から姿を消す。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。放送批評懇談会出版編集委員。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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