JAL機炎上事故で物議を呼ぶ「ペット問題」、賛成派も反対派も触れない「判断の最優先事項」とは

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ペットだって大事な家族

 1月2日に発生した海上保安機とJAL機の衝突事故では、JAL機の乗員・乗客379名全員が生還したことから、機長とCAを含む乗務員のプロ意識の高さが賞賛された。その一方、2匹のペットが受託手荷物扱いされ、救出する余裕がなく犠牲となったことが石田ゆり子ら著名人も含む論争になったのである。

 ペットは家族の一員ということで、「同伴搭乗を求める声が加速」といったネット記事も登場した。賛成派・反対派の言い分は平行線を辿った。賛成派は「追加料金を払えばいい」「ペットだって大事な家族」「うるさくしないよう育てている」「モノ扱いがそもそもおかしかった。海外にはすでに同伴搭乗サービスはある」といった点が主張だ。反対派は「人間の席が一つ減る」「アレルギーが苦しい」「そもそも客室は人間のためのもの」「ペットを持ち出そうとする客がいたせいで人命が失われたらどうするのか」など。

 どちらの言い分も理はあるわけだが、両者の言い分は参考にする程度にし、ここは「企業も客も儲かるか儲からないかを判断の最優先事項にする」という観点で考えれば良いのではなかろうか。たとえば、フェリーの“商船三井さんふらわあ”には「ウィズペットルーム」が存在する。

厳しい規約

 首都圏と北海道を結ぶ大人片道料金はデラックスルームが期間(繁忙期か閑散期かどうか)により2万3400~3万7900円、カジュアルルームが1万3100~2万2500円。これにウィズペット料金の部屋を借りると「オーシャンビュー(4名定員)」が1万9000円追加で、「オーシャンビュー(2名定員)」「インサイド(2名定員(最大3名))」が1万6000円だ。部屋には入らずペットだけが集う部屋のケージ料金は中型が3100円で、特大が6200円。ペットを受け入れることにより、収入は増えるのである。

 とはいっても、規約はかなり厳しい。基本は犬と猫と小動物だが、犬でも以下は不可。生後6ヶ月未満の仔犬、無駄吠えする犬、闘犬など他の客・ペットに恐怖心を与える犬、病気の犬。さらに、猛禽、猛獣、爬虫類、毒保有昆虫類なども不可。乗下船時は、動物が苦手な客へ配慮し、外部デッキや船内散策等の利用は不可。

 そして、次もある。【1】ペットによる事故・ケガ・トラブル(人間への噛みつきや備品破損等)は飼い主の責任【2】ペット同伴者は最後に降りる【3】非常時は人命救助最優先

【3】を見るとケージ室に残ったペットを助けることができないこともあり得るということだ。ここまでのルールを設けてもペット需要があるからフェリー会社もこういったサービスを提供しているのだろう。また、ペットが苦手な人へも最大限の配慮をして「人間最優先」であることも分かる。

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