妻は「あなたの給料は低すぎる」…48歳夫が週末にコンビニで働き始めたらガン発覚、看護師と不倫して気づいたこと

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前編【お見合いしたその日に「私、妊娠しているから」 クラリネット事件で夫を激怒させた“令嬢妻”の本性】からのつづき

 中小企業のサラリーマンである安西康太朗さん(48歳・仮名=以下同)がお見合い結婚したのは“ご令嬢”の美重子さんだった。康太朗さんと出会った時点で不倫関係にあった男性の子を身ごもっていた彼女は、娘を出産。康太朗さんとの間にも男児をもうけたものの、虐待されて育った美重子さんは、息子には冷たく接する。お金がないと嘆く妻のため週末はコンビニで副業していた康太朗さんは、美重子さんのそんな過去を知り、親の援助を断って質素に暮らそうと告げたのだが……。

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長男を愛せないながらも、それが夫に知られて気が楽になった妻の美重子さんは、さまざまな遠慮がなくなったのだろうか、言動が変わっていった。

「以前だったら、お金がないという言い方をしていたのが、『あなたの給料が低すぎるのよ』とストレートに言うようになった。家の中では女王様君臨という感じでしたね。家事も、自分ではあまりしないのに長女にはやらせていた。残業が終わって遅く帰ると、メモに『洗濯と風呂掃除』と書いてある。せめて、お願いしますの一言があってもいいだろうと思いました。妻は確かに虐待の被害者ではあるけど、一方で自分が僕をこき使っていることにまったく思いが至らない。偏ってるんです」

 疲労がなかなか抜けなくなった。1年前、とうとうコンビニで働いているときに突然、倒れてしまった。それ以前から食欲もなくなって痩せてきていたが、妻には何も言わなかった。

「検査したら、実はガンが見つかりました。なんとなく妻には言えなくて、ちょっとした病気で手術をしなければならなくなったと伝えたんです。すると『わかった』と。また親に頼るんだろうなとは思ったけど、もうそれもどうでもいいような気がしました」

 幸い、初期のガンだったので切除し、10日間ほどの入院だということだった。主治医に口止めし、妻には来ないでいいと言ったが、さすがに手術の日には妻がやってきた。目覚めると妻がいたが、生還した喜びはなかったと彼は言う。

「目が覚めてわかったんです。僕は目覚めなくてもいいと思っていたんだと。なんだかもう何もかもイヤになっていた」

看護師の英子さんとの出会い

 親には何も言っていない。親戚からお金を借りたけどと妻は言った。少しは変化があったのかもしれないと期待したが、翌日から妻は一度も来なかった。

「看護師の映子さんが心配して、連絡とりましょうかと言ってくれたけど、こちらも深刻な状況ではないからいいですと遠慮しました。映子さんは同情的でしたね。夜中に眠れないとき、しょうもない話につきあってもらったこともあります」

 彼が本当は趣味の クラリネットで身を立てたかったこと、だが両親は理解がなく、音楽などで暮らしていけるわけがないと大反対され、自分でも自信がなかったために諦めてしまったこと。それは生涯、彼の後悔になっている。

「映子さんはじっくり耳を傾けてくれました。『私も後悔していることがあります。私は医師になりたかった。でも大学受験直前に父が急死したんです。だから諦めるしかなかった。でももしかしたら諦めずにすんだ可能性もあったのではないかって今でも思います』と言っていました。いつかクラリネット、聞かせてくださいと笑顔で言ってくれたのがうれしかった」

 退院しても通院は続いた。だが病棟の看護師である映子さんにはなかなか会えなかった。あるとき病院の敷地内でバッタリ会えた。

「お会いしたかったですと言ってくれて。彼女、少し時間があるというので近くの喫茶店でランチをしました。退院後、自宅療養をしなければいけなかったんですが、僕はすぐに仕事に復帰しました。妻はともかく、子どもたちのために働こうと決めたんです。命に限りがあると実感したので、クラリネットも再開しました。彼女が聞きたいと言ってくれたので、ある日、演奏できるカラオケボックスを予約して聞いてもらったんです。彼女は目を輝かせて聞いてくれた。あれが生きる喜びにつながりました」

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