「大物議員が責任の押し付け合い」 自民党裏金問題、特捜部が照準を合わせた2議員の名前とは

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「自民党派閥パーティー裏金事件」の捜査は2024年1月に通常国会が始まるまでの短期決戦である。前代未聞の捜査体制を敷く東京地検特捜部はそれまでに「安倍派」「二階派」とどう対峙し、大物議員の立件をめぐってどのような攻防が繰り広げられるのか――。

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 23年12月下旬のある日、皇居近くにそびえるパレスホテル東京の前に記者やカメラマンが集まっていた。所属議員99人を誇る自民党の最大派閥、清和政策研究会(安倍派)の「巨額裏金事件」。全国から応援検事50人をかき集めて異例の捜査体制を敷く特捜部はその日、「大物議員」らの事情聴取を行うと見られていた。しかし、議員らがホテルに入る様子がマスコミのカメラに捉えられることはなかった。

「パレスホテルで地検の聴取を受けた安倍派のある議員によると、事前に車のナンバーなどを地検側に伝えて登録し、その車でホテルの地下駐車場まで行くことになっていたそうです」

 と清和会関係者が明かす。

「地下駐車場に着くと、そこに検察事務官が迎えに来る。聴取を行うホテルの部屋番号は事前には伝えられなかったといいます。地検側はマスコミに写真などを撮られることを警戒し、ホテルの地下駐車場に入れる車を制限していたようです」(同)

聴取の二つの目的

 この議員の聴取が行われた部屋はツインルームだったという。

「聴取の目的は2点ある、と検事は議員に説明したそうです。一つはキックバックされた金の使途、もう一つは誰が、なぜその金を政治資金収支報告書に記載しなかったのか。その議員は秘書に対し不記載の指示をしておらず、また、受け取った金も自分の政治団体に入金した上で領収書も残していたため、“問題なし”と判断されたといいます」(同)

 目下、安倍派とその所属議員にかけられている嫌疑は、政治資金規正法違反罪(不記載・虚偽記載)である。同法の時効は5年。安倍派では、毎年開催してきた派閥パーティーの際、所属議員にパーティー券(パー券)の販売ノルマを課し、ノルマ超過分の代金は議員側に戻すのが慣例となっていた。そのキックバック分が派閥と議員側両方の収支報告書に記載されず、裏金に。その額は直近5年で実に5億円にも膨れ上がっていた。

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