「純烈の演出には呆れた。あの場でNHKの宣伝をするとは」酷すぎた紅白歌合戦、国民的番組として本来やるべきだったこと

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 前編【史上最低視聴率を記録したNHK紅白の敗因 民放テレビマンは「入り中に頼りすぎ。自分たちの都合を優先させすぎでしょう」】からの続き。

「第74回NHK紅白歌合戦」の視聴率が史上最低を記録したワケと、どうすべきだったのかを掘り進める。

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 民放プロデューサーは「今回の『紅白』でもっとも鼻白んだのは純烈の演出でした」と指摘する。

「まるで“耳なし芳一”のように、QRコードが全身にデザインされたスーツを4人に着させてNHKプラスの加入促進をPRしました。ステージの背後にあるスクリーンにも大きなQRコードが映し出され、歌唱中には審査員にQRコードを読み取らせ、挙げ句の果てには視聴者の視界を塞ぐように巨大なQRコードの横断幕も広げられました。テレビの前の視聴者に読み取らせて、この際、加入もさせてしまおうという魂胆です」

 純烈が歌ったのは「だってめぐり逢えたんだ~NHKプラスver.~」だった。ちなみに彼らは“NHKプラス紅白親善大使”に任命されていた。

「いくら親善大使だろうと、純烈は立派なアーティストです。NHKの回し者ではありません。かつてNHKは、公共放送であるため宣伝活動はできないという理由で、勝手に歌詞を変えようとして批判されましたが、NHKの宣伝のためなら問題ないということでしょうか」

 1973年、かぐや姫は「神田川」が160万枚の大ヒットを記録し、「紅白」への出場を打診されるも辞退。その経緯を、後にメンバーの南こうせつが語っている。

どういう意味があるんだろう

《NHK「紅白歌合戦」にしてもそうだ。「紅白に出てほしい。ただし歌詞の中の“クレパス”は固有名詞だから、“クレヨン”にしてくれ」と、こちらとしては「冗談じゃない!」だ。(中略)「クレパス」を「クレヨン」に変えるのに、どういう意味があるんだろう》(日刊スポーツ:1991年9月23日)

「アーティストに対して失礼ですよ。第1部と第2部の間にも、神田明神からの中継で首藤奈知子アナが受信料とNHKのPRを散々していました。そして第2部がスタートすると、前日のレコード大賞歌手であるMrs. GREEN APPLEにはトークもなく、いきなり歌わせていました。ニュースによる中断でザッピングをしていた視聴者に対しても、待つ時間を与えず失礼です」

 今回の「紅白」のテーマはボーダレスだった。公式ページにはこうある。

《国や、言葉や、世代を超えて“ボーダレス”に人と人とをつなげ感情を共有していく。そんな力が、音楽にはあります。/今年の紅白で届ける歌の数々は、きっと皆さんを勇気づけ、離れた家族に安らぎをもたらし、まだ見ぬ海外の友人を笑顔にしてくれると思います》

「番組冒頭でも高らかに“ボーダレス”を宣言しておきながら、最後は麻布大学野鳥研究部の集計で紅組・白組の勝敗を決するという整合性のなさ。こうした手前味噌ぶりが視聴者にも伝わり、チャンネルを変えられてしまったのだと思います」

 出場歌手の選定も視聴者不在だったという。

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