「おまえはおかあさんが浮気してできた子だ」…50歳男性が語る、父親の敵意に耐えた少年時代 「親の影響で僕は自分に自信が持てない」

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 多くの人はいくつになっても自分に自信などもてないものだ。みんな、自分自身と折り合いをつけて生きていくしかないから、短所も含めて自分とつきあっていく。だが極端に自分に自信がないタイプは、自分を見失い、人に流されていく傾向が強い。

「僕が自分に自信をもてないのは、親の影響が大きいと思います」

 そう話すのは岸野喜正さん(50歳・仮名=以下同)だ。彼は「母親が浮気してできた子」だという。それを彼は父親から聞かされた。

「僕には3歳違いの兄と、年子の妹がいるんです。兄と妹は両親にかわいがられていたけど、僕だけはかわいがられなかった。ときどき父の敵意に満ちた視線を感じることがありました。母もあまり僕にかかわろうとしないように思えたんです。ひとつ違いの妹は子どものころから病弱だったせいもあってわがままだった。妹に手がかかるから僕はないがしろにされているんだと自分で自分を納得させている面がありました」

「おまえはオレの本当の子じゃない」

 小学校4年生のころだった。母が兄と妹を連れて実家にでも行っていたのだろうか。なぜか父とふたりきりの夜があった。父は夕方から酒を飲み始め、リビングでひとりぶつぶつと何か言っていたが、急に喜正さんを呼びつけた。

「酌をしろと言われてすると、『おまえももう、ものごとの善し悪しがわかる年だから言っておくよ。おまえはオレの本当の子じゃない。おかあさんが浮気してできた子だ。浮気ってわかるか? あいつはよその男と寝たんだよ』って。一言一句、忘れません。当時ははっきり理解していなかったかもしれないけど、父の子じゃないということだけはわかった。ショックでしたね。同時に、父にかわいがられなかった理由がわかった」

 その後、母にそのことを尋ねてみた。母はうろたえながら、「何バカなことを言ってるの。おとうさんは酔っ払って冗談を言っただけ」と取り繕った。だが喜正さんは、父の言うことが本当なのだと悟ったという。

「中学生になったころかな、法事かなんかで親戚が集まったとき、両親が言い争いを始めてしまった。父が『おまえが浮気してできた喜正を受けいれてやったのはオレだぞ』と大声で言ったんです。兄と妹の顔色が変わったけど、親戚の間に特に驚きはなかったような気がします。周りはみんな知っていたんでしょうね」

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