やせるだけでなくアルツハイマー予防にも 魔法の薬「オゼンピック」「ウゴービ」の効能を示す科学的データ

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権威ある学術誌が研究結果を発表

 2型糖尿病の治療薬であるオゼンピックなどのGLP-1受容体作動薬に、腎臓や心臓の合併症を予防する効果があることは前回の記事でお伝えした。心臓に対する効果については今年9月、権威ある医学学術誌「The New England Journal of Medicine」にて研究結果が発表されている。対象となったのは、駆出率(心臓の機能評価指標の一つで、心臓の収縮力を示す)が保たれた心不全と肥満(BMI30以上)を患う529人。1年にわたってセマグルチドを毎週投与された患者群では、プラセボ(偽薬)を投与した患者群に比べて、息切れなどの症状が改善した他、身体機能や運動機能も向上したという。

体重が平均約13%減少

「心不全の約半分はHFrEF(ヘフレフ)と呼ばれる、心臓の駆出率が保たれていない症状で、こちらはすでに治療薬が多く存在します」

 そう説明するのは、国際医療福祉大学医学部教授で、同三田病院糖尿病・代謝・内分泌内科部長の坂本昌也氏である。

「一方、HFpEF(ヘフペフ)と呼ばれる、心臓の駆出率が保たれている心不全の人たちについては治療が難渋しています。現時点では、糖尿病治療薬の一つであるSGLT2阻害薬はその有効性が示されていますが、頻尿や膀胱炎、カンジダなどを招く場合があり、使えない人もいます。今回の研究結果により、肥満を合併しているHFpEFの人たちにセマグルチドを処方するという選択肢ができたと考えられるでしょう」

 研究結果をもう少し詳しく見てみよう。まず、体重減少についてはプラセボ投与群が平均マイナス2.6%だったのに対して、セマグルチド投与群は平均マイナス13.3%だった。

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