パレスチナ人の抹殺を目論むネタニヤフ首相 バイデン大統領も止められず、トランプ前大統領が急浮上 米国に追随する日本は何をすべきか
ルーズベルトとネタニヤフ
改めて整理しておくと、10月7日、パレスチナのイスラム組織ハマスは10月7日にイスラエルに向けてロケット弾などを発射。戦闘員も分離壁国境を突破し大規模な攻撃を行った。イスラエルがハマスに反撃する権利は、もちろん国際法などで保証されている。
「とはいえ、現在の空爆や地上戦の様子を見れば、イスラエル軍の攻撃を『正当な反撃』と見なすことはできません。すでに反撃は過剰になっており、ガザ地区を無差別に破壊していると国際世論に批判されているのは当然でしょう。国際法の観点から考えても、イスラエルは攻撃を直ちに止める必要があり、国連などが提示した停戦案を受諾すべきです」(同・佐瀬氏)
デイリー新潮は11月15日、「ハマス戦闘員が一人でイスラエル軍『メルカバ戦車』を攻撃 その動画を見た軍事関係者が仰天するワケ」の記事を配信した。
ハマスの戦闘員は練度が高く、他国軍の正規兵と遜色がないことを伝えたが、とは言っても彼我の戦力差は明白だ。
戦闘がハマスの敗北で終われば、イスラエル国内ではネタニヤフ政権や情報機関「モサド」の責任問題が追及されるという指摘は多い。ハマスの先制攻撃を許してしまったからだ。
「太平洋戦争で、ルースベルト大統領は日本軍による真珠湾攻撃を事前に知っていたか否か、という議論があります。私はイスラエルでも『ネタニヤフ首相はハマスの攻撃を事前に知っていたが、あえて見逃した』という似た議論が起きる可能性があると考えています。ハマスの攻撃はネタニヤフ首相に格好の口実を与えました。以前から狙っていたであろう『ガザ地区のハマスを根絶やしにする。無関係な住民が含まれていようが構わない』という軍事作戦を堂々と行使できる状況になったのです」(同・佐瀬氏)
“反ユダヤ主義”とトランプ氏
イスラエルとハマスの戦闘が世界に与える悪影響に関しても、日本のメディアは報道が足りないようだ。
「単に“中東地域の不安定化をもたらす”という視点しかありません。今回のイスラエルの暴走は、“世界全体を不安定化させる”だけのインパクトがあります。何度も停戦を提案してもイスラエルが拒否したことで、アメリカのバイデン大統領のメンツは地に墜ちました。中国の習近平国家主席と、ロシアのプーチン大統領は大喜びしているはずです。米中と米露の関係が今以上に悪化する可能性がありますし、世界各地で紛争が増える懸念もあります」(同・佐瀬氏)
アメリカではバイデン政権の支持率が下落し、代わりにトランプ前大統領の支持率が急上昇している。理由の一つに、トランプ氏がアメリカの“反ユダヤ主義”をトランプ氏が追い風にしていることが挙げられる。
トランプ氏は大統領時代、「ユダヤ人の多くが不動産ビジネスに携わっている」、「ユダヤ人は大変な遣り手」など、“カネの亡者”というステロタイプなイメージを披露して批判されたことがあった。
さらに、2022年には反ユダヤ主義的発言で批判されているラッパーの「イェ」ことカニエ・ウェスト氏と面会したことでも注目を集めた。
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