秋ドラマ・視聴率ワースト5 篠原涼子「ハイエナ」はなぜ大苦戦しているのか

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

Advertisement

民放ビジネスは昔も今も視聴率で動く

 それを今年4月からは「ドラマ8」に衣替えし、ターゲットをやや若い世代にシフト。福士蒼汰(30)が演じる悪徳弁護士を主人公とする春ドラマ「弁護士ソドム」などを放送してきたものの、浸透していない。

「金曜8時のドラマ」が「ドラマ8」へ変更された背景には、世帯視聴率から個人全体視聴率への移行がある。その番組を観ている家の割合しか調べない世帯視聴率の場合、高齢者の好む番組が圧倒的に有利なのだ。

 極端な少子高齢化で高齢者は人数が多く、しかもテレビをよく観るからである。世帯視聴率は家族の誰かが1人でも観れば上がるから、高齢者に受けの良い番組は浮上する。

 なにしろ、20代が平日1日にテレビを観る時間は約1時間29分なのに対し、70代は約5時間半(2022年、総務省調べ)なのだ。もはや世帯視聴率で番組の人気度を判断するのは至難の業。それもあってテレビ界は使わなくなった。

 民放ビジネスは昔も今も視聴率で動く。「視聴率時代は終わった」とする向きもあるが、それは実情から懸け離れている。各局の株主報告書を一目見たら、現実が瞬く間に分かる。

 民放で昨年度の全日帯(午前6時~深夜0時)の個人全体視聴率とコア視聴率のトップはともに日テレだった。当然、CM売上高も断トツで約2369億800万円を記録した。

「今は放送ではなくTVerなどの無料動画の時代」とする声もあるが、これも現実離れしている。その広告売上高はCM売上高の30~50分の1に過ぎない。

関東と関西で数字に開きがある理由は

 ワースト2位は制作・朝日放送(大阪)、テレビ朝日系の「たとえあなたを忘れても」(日曜午後10時)で個人1.9%、コア0.8%(世帯3.%)。一方、朝日放送のある関西では、同じ12日放送分の視聴率が個人3.0%(世帯5.2%)である。

 随分と数字に開きがある。古くからテレ朝と朝日放送は独立性が強く、その分、番組宣伝の相互協力がうまくいっているとは言い難い部分がある。それも影響しているのかも知れない。

 このドラマはピアニストになる目標をあきらめた河野美璃(堀田真由・25)が東京を離れ、神戸で音楽教室の講師を始める。そしてキッチンカーのオーナー・青木空(萩原利久・24)と知り合い、親しくなる。だが、空には記憶を失ってしまう解離性健忘症という障害があり、美璃のことも一度は忘れてしまった。美璃の好意はどうなるのか。

 初主演の堀田 ら俳優陣の演技はいい。しかし、あえて苦言を呈すと、そろそろラブストーリーは障がいや難病から離れてもいいのではないか。愛はいかなる困難も乗り越えることを訴えたいのだろうが、それなら障がいや難病を登場させなくても出来るはず。

次ページ:評判高い「大奥」も視聴率は惨敗中

前へ 1 2 3 4 次へ

[2/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。