ハマス戦闘員が一人でイスラエル軍「メルカバ戦車」を攻撃 その動画を見た軍事関係者が仰天するワケ

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 ハマスの戦闘員が、たった一人でイスラエル軍の戦車「メルカバ」を攻撃。対戦車ロケット擲弾(てきだん)「RPG」を見事、命中させた──。パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織・ハマスが公開した動画はインターネット上で今も拡散され、日本でも話題になっている。

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 動画はFNNプライムオンライン(註1)やミリタリーチャンネル「ミリレポ」(註2)などでも報じられた。一体、何が凄かったのか、軍事ジャーナリストが解説する。

「トンネルから出たハマスの戦闘員が、茂みをかき分けて前進するところから動画は始まります。すると目の前を、イスラエル軍の戦車メルカバが通り過ぎます。戦闘員は躊躇せず戦車に近づくと、大きな瓶のようなものを取り出し、安全ピンと思われるものを抜き、戦車の後部に置きました。そして一目散に茂みに駆け戻ったのです」

 カメラは戦闘員の視点になっているため、メルカバに何が起きたのかは映っていない。だが、戦闘員が茂みに戻ると、「パン!」という破裂音が鳴り響く。

「戦闘員は、トンネルに隠していたRPG-7を取り出します。RPGとは旧ソ連が開発した対戦車ロケット擲弾発射器です。安価な割に戦果が期待できることから、発展途上国の軍隊やテロリストが使用していることで知られています。映画『ブラックホーク・ダウン』を見た方なら、ソマリアの民兵がRPGで米軍の最新鋭ヘリ『MH-60ブラックホーク』を撃墜するシーンをご記憶でしょう」(同・軍事ジャーナリスト)

「トロフィー」を撃破

 ハマスの戦闘員がRPGを発射すると、メルカバから炎が噴き上がった。詳しい戦果は分からないが、戦車に相当なダメージを与えたことは間違いない。

「最初に動画を見た時、ハマスの戦闘員がスーサイド・アタック(自爆攻撃)を仕掛けるのかと誤解しました。旧日本軍も硫黄島や沖縄で、アメリカ軍の戦車に向かって歩兵が肉弾戦を敢行しました。ところが、ハマスの戦闘員はメルカバを爆弾で攻撃しただけでなく、RPGで追い打ちをかけました。これで戦闘員の目的が自爆攻撃ではないことが分かったのです」(同・軍事ジャーナリスト)

 ハマスの戦闘員は何をしたのか。彼は爆弾と思われるもので装甲戦闘車両のアクティブ防護システム「トロフィー」のレーダーシステムを破壊。丸裸となったメルカバをRPGで攻撃したのだ。

「トロフィーは2009年にイスラエルが開発した防護システムで、今も軍事機密の厚いベールに覆われています。戦車の砲塔の四隅にレーダーを設置し、戦車を目がけて飛んできたミサイルやロケットに迎撃弾を発射して破壊します。アメリカ、ドイツ、イギリスの各軍も導入を決めており、その性能は折り紙付きでした。ところが、ハマスの戦闘員はトロフィーを無力化してしまったわけで、世界中の軍事関係者が驚いています」(同・軍事ジャーナリスト)

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