人生折り返し地点で、同僚の女性と「社内W不倫」…46歳男性が語る、修羅場と泥沼のてん末「あの時、どうしてすっきり片づけられなかったのか」

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「泥沼不倫」という言葉がある。不倫がパートナーに露見したり関係がこじれたりしているケースだ。それでもなお、別れられない人たちもいる。どうして別れられないのか、いつまで続くのか。当事者とそのパートナー、家族までをも巻き込みながら、全員が泥沼に沈み込みそうな体験をした男性がいる。本人さえ「どうしてすっきり片づけられなかったのかがわからない」と当時のことを話してくれた。

 古川政宏さん(46歳・仮名=以下同)は40歳のとき、恋に落ちた。相手は職場の同僚である歌織さんだ。もともと同期だったが部署が違っていたので、同じフロアで働くようになったのは入社してすぐの研修期間以来だった。

「研修期間後、僕はまず大阪勤務となり、彼女は東京でした。その後、僕はけっこう転勤が続きました。32歳のとき大阪で同僚だった3歳年下の真希と結婚し、ふたりとも東京勤務ということになったんです。妻は部署が違っていたので別のフロア、会社で会うことはめったにありませんでした」

妹の辛い思い出

 その後、長女が生まれたが真希さんは仕事を続け、政宏さんの母親の協力も得て、忙しいながらも充実した日々を送っていた。

「娘が小学校に入ったときはホッとしましたね。実は僕、妹がいたんですが幼いころに急病で亡くなっているんです。僕が8歳、妹が5歳でした。昼間一緒に遊んでいた妹が、翌朝には病院で動かなくなっていた。それは僕にとって尋常ではないショックでした。前の日、僕、妹に意地悪したんですよ。妹の分のおやつを食べちゃったのに、知らないと言い張った。『おまえがどこかになくしたんだろ』と。妹は泣き出し、母には僕が食べたと見抜かれて怒られて。おまえのせいで怒られたと陰でまた妹をいじめた。ほんの軽い兄妹げんかですけど、その晩、妹が急に具合が悪くなったので、僕のせいだと思い込みました」

 妹のお通夜もお葬式も、政宏さんは断片的にしか覚えていない。ショックのあまり、涙も出なかった。お葬式のとき、彼は母に、妹の顔を見るよう促されたが見ることができなかった。後ずさりして会場を飛び出したが、誰も追ってこなかった。

「どう言ったらいいのか……。今なら子を亡くした親の気持ちを想像できますし、両親がどれほどショックだったかもわかる。だけどあのときは自分のショックを受け止めることもできなかった。それなのに両親は僕のことなど考えてもくれない。そう思っていたような気がします。子どもは大きな衝撃を受け止めることさえできないんですよ」

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