岡田阪神が38年ぶりに日本一! 過去10年の“地道なドラフト戦略”が栄光に繋がった理由

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生え抜きの選手がチームの中心

 阪神が11月5日、38年ぶりとなる悲願の日本一を達成した。レギュラーシーズンでは2位以下に10ゲーム以上の大差をつける独走での優勝で、ポストシーズンでは、日本シリーズこそ第7戦までもつれ込む大熱戦となったものの、パ・リーグを圧倒的な強さで勝ち上がってきたオリックスに競り勝って見せた。【西尾典文/野球ライター】

 優勝、日本一の要因はいくつもあるが、星野仙一監督時代の2003年、岡田彰布監督が前回指揮を執った2005年と比べて大きく異なるのは、生え抜きの選手がしっかりチームの中心となって勝ち取ったものであるという点だ。

 2003年、2005年のリーグ優勝は、投手では伊良部秀輝、下柳剛、野手では金本知憲、アリアス、シーツといった他球団で実績を残して阪神に移籍した選手が非常に多く、捕手の矢野輝弘も才能が開花したのは阪神入団後だが、トレードで加入した選手である。長期低迷していたチームを劇的に変えるために、星野監督が大胆な血の入れ替えを実行してつかんだ優勝だった。

 一方で今年のメンバーを見てみると、他球団でも主力として活躍していたのは西勇輝くらいしか見当たらず、今年ブレイクした大竹耕太郎も現役ドラフトで移籍してきた選手である。セ・リーグの他球団と比べても、外国人選手への依存度は非常に低く、投手も野手も中心となっていたのは、過去10年のドラフトで獲得した選手たちなのだ。

圧巻の“2020年”獲得組

 特に大きく変わったのが2015年からである。この年1位で獲得した高山俊は主力として活躍した期間は短かったが、新人王を獲得。打力は乏しかったものの、守備に定評のあった坂本誠志郎を2位で獲得し、また5位で指名した青柳晃洋もエース格へと成長している。

 翌年は将来の中軸を担える素材としていきなり大山悠輔を1位で指名。知名度の低さからファンからの批判の声も多く、話題となったが、不動の4番へ成長している。

 その後を見ても1位で2度抽選を外した2017年に入団した選手は少し苦しんでいるものの、ほぼ毎年主力クラスとして活躍している選手が出てきている。特に圧巻なのは2020年で、佐藤輝明、伊藤将司、村上頌樹、中野拓夢、石井大智と実に5人もの選手がチームの中心になっているのだ。

 ここで名前を挙げた選手の中でも高山、佐藤は目玉と言われた選手だが、それ以外はそこまで圧倒的な評価を得ていたわけではない。2018年1位の近本光司も2度抽選を外した後に指名した選手であり、小柄な体格を不安視する声も多かった。ただ、そんな選手たちがしっかり主力になっているところに阪神の“目利き”が素晴らしいことをよく物語っており、また入団後に成長できる環境だったことも評価すべきだろう。

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