Jリーグ30周年 元サッカーダイジェスト編集長が選ぶ「思い出のゴールベスト10」芸術的ループシュートも

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 周知のように、Jリーグは今年で30周年を迎えた。東京五輪の翌年、1965年にスタートした前身のJSL(日本サッカーリーグ)が27年の歴史しか持たないことを考えると、隔世の感がある。五輪出場に悪戦苦闘した「JSL時代」、W杯出場が当り前になった「Jリーグ時代」、と言うこともできるのではないか。

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 そんなJリーグ30周年を記念して、この30年を回顧する「J30ベストアウォーズ」が開催されている。ファン・サポーターの投票をもとに、「MVP」、「ベストイレブン」、「ベストマッチ」、「部門別ベストゴール」、「ベストシーン」を決定。5月15日の「Jリーグの日」から順次発表されている。

 すでに全ての賞が発表されたが、この30年、Jリーグを見た時代が違えば、受けた印象も人によって違うだろう。そこで今回は「部門別ベストゴール」について、私なりの「ベスト10」をセレクトした。

 まずは「ボレー/オーバーヘッド部門」である。これは「J30ベストアウォーズ」と同様にガンバ大阪のFWパトリック・エムボマのシュートを推す。

 97年4月12日の開幕戦、ベルマーレ平塚とのJデビュー戦の72分に左からのドリブルで切り込むと、相手のアタックにボールが浮くが、それをリフティングで前へ運ぶと左足で豪快なボレーシュート。GKの頭上を越えて決まった規格外のシュートと言えた。エムボマはこの年、25試合出場し28ゴールを決め、いきなり得点王を獲得している。

久保竜彦と「ひょっとこ」

「テクニカル部門」も「J30ベストアウォーズ」と同様、鹿島アントラーズのMFレオナルドのリフティングからのボレーシュートを選んだ。

 95年11月1日の第19節、横浜フリューゲルス戦の83分のことだった。ペナルティーアークでパスを受けたレオナルドは、ボールを浮かしてスライディングタックルをかわすと、3人の敵に囲まれながらもリフティングで頭の上を越すことでアタックを無力化。最後は左足ボレーでゴールを決めた。

 このプレーを見た都並敏史(元日本代表。ブリオベッカ浦安監督)は当時、「中学生が相手なら私にもできたかもしれない」と率直な感想を述べていた。

「ミドル/ロングシュート部門」も「J30ベストアウォーズ」と同じく横浜FCのストライカー・FW久保竜彦のロングシュートだ。

 横浜FCが初めてJ1に昇格した07年3月3日の開幕戦、相手はホームの浦和レッドダイヤモンズだった。44分に右サイドでパスを受けると、久保は迷うことなく左足を一閃(いっせん)。35メートルのロングシュートがゴール右上に鮮やかに決まった。

 久保は手を回してガッツポーズを作ったが、その顔つきが「ひょっとこ」に似ていたため横浜FCはホームゲームで久保の「ひょっとこの和手拭い」を販売。私も購入したのは言うまでもない。

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