「ハマス奇襲」を見て韓国が慌てだした 「融和策が“北朝鮮奇襲”を呼ぶ」VS「“力による平和”こそ危険」の対立

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「ハマス奇襲」が韓国の左右対立に拍車をかけた。第2次朝鮮戦争を引き起こすのは左派の対北融和策か、保守のイスラエル張りの強硬策なのか――。この論争に出口はなく「銃声なき内戦は激しくなるばかり」と韓国観察者の鈴置高史氏は言う。

韓国もアイアンドームでは防げぬ

鈴置:テロ組織、ハマスのイスラエルへの奇襲(10月7日)に韓国メディアがすかさず反応しました。「ジャニーズ問題」にかかりきりになっていた日本のメディアとは対照的でした。北朝鮮が「ハマス型攻撃」を仕掛けてきたら韓国は耐えうるのか、との思いが多くの韓国人の心をよぎったからです。
 
 「この期を逃すな」とばかりに保守は「北朝鮮による奇襲」に警告を発したうえ、過去の左派政権の従北外交が奇襲を誘発するとやり玉にあげました。

 まっさきに「ハマス型攻撃」を警告したのは朝鮮日報の軍事専門記者、ユ・ヨンウォン氏。記事は「5000発で穴のあいたアイアンドーム…1時間当たり1万6000発の北の長射程砲への対応は?」(10月9日、韓国語版)です。

 敵のミサイルをミサイルで撃ち落とすイスラエルの「アイアンドーム」(Iron Dome)。韓国軍もそれをお手本に同様のシステムを2026年までに完成する計画です。

 しかし、今回の奇襲でイスラエルはハマスの発射した地対地ミサイルの全ては防げなかった。飽和攻撃――同時に5000発もの多数のミサイルで攻撃されたため、撃ち落し漏れが出たのです。

 韓国軍の推計では、北朝鮮は開戦10分以内に5000発、同1時間以内に1万6000発のミサイル・砲弾を韓国の首都圏に撃ち込めます。これらのデータから韓国型アイアンドームでは完全には防げない、とユ・ヨンウォン記者は警鐘を鳴らしたのです。

 なお、砲弾は空中ではまず、撃ち落とせません。韓国軍は北の長距離砲の発射地点を探知してから地対地ミサイルや長距離砲で破壊することになりますので、とりあえずは撃たれっぱなしになります。

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