ガールズバーの女子大生に300万円貢いだ43歳不倫夫 妻から反吐が出るとなじられても「僕は被害者」と言う“マッチョな論理”

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3年間で300万

 彼は後日、またメグさんに50万円を手渡ししている。お金で縛る気はさらさらない、僕の気持ちとして受け取ってくれたらうれしいという言葉を添えて。

「店に行ったときは単なる客として振る舞いました。店の他の女の子たちも気づいていなかったと思います。月に1、2回はメグと個人的に外で会っていた。3年間で300万くらい渡したでしょうか。彼女に要求されたことはありません。僕に会ってくれることへのお礼と、少しでも生活費の足しになればという気持ちからです」

 半年ほど前、妻から突然言われた。「あなた、メグさんに笑われてるの知ってる?」と。なぜ妻から彼女の名前が出たのか。彼はギクッとしたまま動けなかった。

「メグさんは義姉さんの娘の友だちなんですって。羽振りはいいけど、キモいおじさんがいるって、メグさんが義姉さんの娘に言ってるらしいわ。写真見る?」

 妻が差し出した携帯には、ツーショットの写真、亮一さんの寝顔などが映っていた。姪がメグさんから話を聞いて写真を見たら、自分の叔父だったというわけだ。姪もさぞびっくりしただろう。

「そんなにお金があるなら、もう少し生活費をもらえませんかと妻が慇懃無礼に言ったんです。『私は生活費を補填するために、時給1,000円のパートで必死に働いているんですけど』とも言っていました。妻がパートをしているなんて知らなかった。それ以上に、メグの言動にショックを受けて、何も考えられなかった。メグとの関係は、少なくともお互いに惹かれ合った恋だと思い込んでいたから。考えればそんなはずもないのに」

 幼いころに「おまえは男らしくない」と父に痛めつけられた日々を急に思い出した。筋トレをして体を変えたところで、自分にはやはり男としての基本的な魅力がないのだと思い知った。

「僕は被害者みたいなものでしょ」

 姉から「みっともないことしないでよ」と言われた。「少しは絵理奈さんのことを考えてあげたら?」とも。妻は姉の同情を笠に着て、夫を見下すようになった。

「今までどれだけ偉そうなことを言ってきたかわかってる? 私がどんなに我慢してきたか知ってる? あんたみたいな人にバカにされてきたかと思うと反吐が出るわ」

 そんな激しい言葉を投げつけられた。いっそ妻を殴り飛ばしたいと思ったこともあるが、人に暴力をふるうことは性格上、やはりできない。自分が妻に対してストレスを解消するかのように暴言を吐いていたことだけは、言われて初めて理解した。

 現在も妻と娘と同居はしているが、会話はほとんどない。娘は無邪気に接してくれることもあるが、自分が父親と話すと母親が不機嫌になることはわかっているから、娘ともギクシャクしがちだ。妻が騒ぎすぎだと彼は最初に言ったが、話を聞いてみれば妻が騒ぐのも当然である。

「姉に何とか助けてほしいと言ったのは事実です。家族崩壊なんてあまりにもかっこわるい。メグにお金を渡したのは僕の意志だから、妻にとやかく言われる筋合いはない。不倫だって長く続いたわけじゃないし、僕は被害者みたいなものでしょ。妻から同情されることはあっても恨まれることはないという気がするんですよ」

 最後になって、彼は独自の論理を展開しはじめた。笑みすら浮かべながら。こういう考え方が基本にあるなら、妻としては長い間、相当我慢を重ねてきたに違いない。

 彼の姉である知人には、「おとうさんの影響かもしれないけど、根からマッチョ思想みたい。彼の考えが覆されることはないんじゃないか」と伝えた。やっぱりねと知人は呆れたような表情で首を振っていた。

前編【妻の反対を押し切ってベンチャー企業へ転職 43歳夫が1年後 彼女に放ったあり得ない一言】からのつづき

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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