妻の反対を押し切ってベンチャー企業へ転職 43歳夫が1年後 彼女に放ったあり得ない一言

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大学の先輩からの転職の誘い

 淡々と穏やかに彼はそう言った。どうもつかみどころのない性格のようだ。ともあれ、彼は29歳のときに絵理奈さんと結婚し、31歳で娘をもった。絵理奈さんとは、ごく普通の夫婦だったと彼は言うが、こればかりは彼女にも聞いてみないとわからない。

「娘が生まれてすぐ、実は僕、転職しているんですよ。大学時代の先輩がベンチャーで起業して、それが軌道に乗ってきたから来ないかと言われて。当時の給料の1.5倍は軽くあった。すぐに2倍になるよとも言われた。僕は飛びついたんですが、一応、絵理奈に話したんです。そうしたら絵理奈は絶対反対だって。『今の会社は大手じゃないけど、潰れる恐れはない。ベンチャーなんてわけのわからないところに行って路頭に迷うようなことになったら、娘と私はどうするのよ』って。情けないなと思いました。男の希望を摘むようなことを言うんじゃないと怒ったら、妻は泣き出して」

 妻の意見を無視して彼は転職した。1年後には本当に給料が倍近くになった。転職に反対した絵理奈さんに、「自分の稼いだお金」を任せたくなかったので、生活費を渡してやりくりしてもらうスタイルに変えた。絵理奈さんは不服そうだったが、「きみは転職に反対したよね。きみの言うことを聞いていたら僕の未来はなかった」と彼は冷静に言ったという。

後編【ガールズバーの女子大生に300万円貢いだ43歳不倫夫 妻から反吐が出るとなじられても「僕は被害者」と言う“マッチョな論理”】へつづく

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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