本当は怖い「サウナで整う」の正体 特に注意が必要な人は? 医師が語る実体験「数秒間、脈が止まって“ヤバい”と」

ドクター新潮 ライフ

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 健康増進に疲労回復、リラックス効果。さらには睡眠の質の向上や美肌作りまで、サウナ礼賛の声はやまない。なかでも温冷浴を繰り返すことで生じる「整う」という境地は人をとりこにする。だがその効能だけを称賛していいのか。ブームの裏側にあるサウナの真実。【緑 慎也/科学ジャーナリスト】

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「鳴かぬなら鳴くまで待とう時鳥(ほととぎす)」――サウナ愛好家たちは今日も滴る汗を拭いつつ、あと5分、あと3分と高温に耐え、この句を体現するかのごとく機が熟するのを待っている。やがて訪れる至福の瞬間のために、我慢に我慢を重ねる。

 そんな彼らには少々耳の痛い調査結果が最近発表された。

 福島県中部の4市町(人口約38万人)を管轄する郡山地方広域消防組合が今年6月、サウナに関連する救急搬送の統計をまとめたのだ。過去10年(2013~22年)、管内で101人が失神、熱中症、脱水症などで救急車が呼ばれ、うち27人は入院を要したという。

「持病なし」なのに救急搬送

 これまでもTOKIOの松岡昌宏、元大関の若嶋津など著名人やスポーツ選手がサウナ絡みで救急搬送された例は報じられている。X(旧Twitter)で検索すれば、サウナで自分が、あるいは周囲の人が搬送されたとの投稿はいくらでも見つかる。しかしサウナに限定した救急統計の報告は国レベルはもちろん地方レベルでも存在しなかった。

 同消防組合広報の吉田武司氏によると、6月10日に栃木県日光市のサウナ施設で起きた利用客の男性(25)が施設内の池で死亡するという事故が、過去の同地区のデータを洗い直すきっかけになったという。

「以前からサウナ中やサウナ直後の救急事案が発生していました。消防本部の救急担当との雑談でサウナ関連の救急搬送が『たまにある』と聞いたこともあったんです。それで日光の事故を受けて本格的に調べてみようと思いました」

 101人のうち56人は動脈硬化症、高血圧症、糖尿病、心疾患などの持病があった。一方、残りの45人は持病なしだ。

「半数近くが持病なしというのは意外でした。年齢別で見れば、60歳以上が約70%ですが、若い人も一定数いる。若くて、持病がないから大丈夫というわけではないのです。20代の方で、サウナに約10分入って立ち上がったところふらついて動けなくなり救急要請された人もいます」

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