日本女子オープン 今では珍しい“高麗グリーン”を上手く攻略した原英莉花

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 今年の日本女子オープンは腰痛を克服した原英莉花が2勝した。珍しい高麗グリーンでの攻防戦になった。16番からの日本海沿いのホールはまともに横風を受けるので、風の強弱、方向、強さがキーポイントになった。幸運なことに海岸沿いの風力発電のプロペラが方位と風力を教えてくれた。松林では風の強さが読みにくいが、プロペラならば回転数でおおよそが読める。名門とは言われないものの、たまにはこうしたゴルフ場でメジャー戦を開催するのもいいものだ。いかにもゴルフは自然との戦いだ、忍耐の戦いだ、ということを教えていた。

 高麗グリーンは少なくなったが、川奈の富士コース、福岡の芥屋GCは堅持している。韓国のゴルフ場の多くも高麗グリーンで、暖かい地方で自然に根付くので管理しやすい利点がある。男子の日本オープンは昭和60年頃までは高麗グリーンだった。アメリカのトーナメントがテレビで中継され出してから、管理が難しいベント芝に切り替えた。

師匠のジャンボから教わった?

 今の女子プロたちの多くはベント芝時代に育った人たちで、高麗グリーンに慣れていない選手がパットに苦しみ後退している。高麗芝は向日性の芝で、海面や湖面の光に向かって芽を伸ばす。つまり順目になる。その逆が逆目となりラインが出しにくい。一般的に芝の色が濃いと逆目、光っていると順目と見てよい。いずれも力加減が難しい。

 高麗グリーンの名手は青木功、ジャンボ尾崎である。カップの向こうの壁にぶつけて入れている。流し打ちではなく、パッチとヒットして転がす。球足を長くして打つ。ベントよりひと転がり分伸びる強さでヒットさせる度胸がいる。パターにも工夫が必要で、青木はうしろに鉛を1枚貼った。ジャンボはソールに2枚分貼り付けて、ヘッドを重くして芥屋でのKBCオーガスタに連勝した。多分、弟子の原英莉花は師匠のジャンボから高麗グリーンの攻め方を教わったのだろう。強めにヒットし球足を伸ばしていた。勝因はそこにあった。

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