42歳夫が悩む「妻の親友たち」との関係性 “やっと仲間に入れた”と思った矢先、我が子に悲劇が

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友人夫婦の支え

 芽衣さんは女の子を出産。結婚して3年たったころ、静佳さんが妊娠し、男の子が生まれた。ところが長男は生後3ヶ月で還らぬ人となった。乳幼児突然死症候群だった。ある朝、起きたら息子が動かなくなっていた。

「何がなんだかわからなかった。4,000人にひとりくらいあることだと言われても、それがどうしてうちの子なんだ、と。静佳も僕も、この世の終わりかと思うくらい泣き、食べることも寝ることもできず苦しみました」

 静佳さんは休職した。秀太朗さんも仕事などしたくなかった、生きているのもつらかったが、息子のためにも親が自ら死ぬわけにはいかないと立ち止まった。

「助けてくれたのは将史さんと芽衣さん夫婦でした。芽衣さんは自分の子を保育園に預けると、まず静佳の様子を見に来てくれた。その後、時短で仕事をし、帰りは保育園に行く前にうちに寄ってくれた。子どもを連れてくることはありませんでした。気を遣ってくれたんです。将史さんも毎日のように来て、静佳の好きな果物やスイーツを差し入れてくれました。『静佳は、昔、シュークリームが好きだったよな。今も好きだろ』とおいしいと評判の店で予約して買ってきてくれた」

 ずっと彼らの優しさに甘えていたが、四十九日を過ぎたとき、ふたりは息子に恥じないように生きていこうと話し合った。いつまでたっても涙は乾かないし傷も癒えないだろうけど、ふたりでがんばっていこうと。

 将史さんと芽衣さんに、彼らの娘を連れてきてもらって、みんなで食事をした。再スタートを切ろうと必死だったという。

後編【仲良し友人夫婦の付き合いが、一転、不倫劇に… 42歳夫だけが知らなかった彼らの面倒な過去】へつづく

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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