メイドカフェの“キャバクラ化”に、“デート券”を販売するコスプレイヤー 過激さばかりが増す「オタク業界」の不都合な真実

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露出が多い『Re:ゼロ』と『原神』が大人気

 話は逸れるが、過激な特典を売りにするコスプレイヤーは、SNSに胸がはだけたキャラクターの写真をUPすることが多い。胸の大きさや美脚を強調した、かなりきわどい衣装をまとう。あるコスプレイヤーのSNSでは、ほとんど胸の一部しか隠していないような過激な水着の写真が並び、「いいね」が数千件ついていた。

 そうしたコスプレイヤーの定番のコスプレは、『Re:ゼロから始まる異世界生活』のレムである。レムは胸が強調されたメイド服を着ている。さらに『原神』や『勝利の女神:NIKKE』のキャラも、露出度が高い衣装ゆえに人気がある。しかも、写真につけられたコメントには、絶対にキャラが言わないような的外れなコメントが散見される。そのコスプレイヤーは、そもそも作品をしっかり見ているのだろうか。疑問を呈さざるを得ない。

 一部のコスプレイヤーにとってのコスプレは、キャラへの愛情表現とは違う方向を向いているように思われる。こうした過激な生誕祭を催すコスプレイヤーは、キャラクターではなく、自分への愛情表現のためにコスプレをしているのではないか。ファンから金を巻き上げることで、自己顕示欲を満たしていると言われても仕方ないと思う。

コスプレイヤーはトラブルに巻き込まれやすい

 過去に生誕祭を行ったコスプレイヤーを取材し、疑問をぶつけたら、こう反論された。「別に男を誘おうと思っているとか、大金を稼ぐつもりでやっているわけではない」「純粋な気持ちでやっているのに、そう思われては迷惑だし心外」なのだという。どうやら、憧れのアイドルが生誕祭をやっているのを見て、自分もやってみたいと思ったらしい。「性的な意図はまったくない」と、繰り返し反論された。

 自分の誕生日をファンが祝ってくれて、グッズが売れると嬉しいし、悪い気はしない。ちやほやされたい。かわいいと言われたい。かわいく写真を撮ってもらいたい。一部のコスプレイヤーが承認欲求を満たそうとすると、行き着く先はこういったシステムになるようだ。承認欲求はあらゆる表現において必要なので、否定するつもりはまったくない。しかし、あまりに露出度の高い衣装や、過激なファンサービスはあらぬ誤解を生むことも事実だ。コスプレに対して、よからぬイメージを抱く人も出てくるのではないか。

 撮影者を募り、自らのコスプレを撮影させる撮影会を催すコスプレイヤーも多いが、こうした企画はトラブルが多いと聞く。前出のコスプレイヤーの周りには、撮影者から性的な関係を持ち掛けられた人が何人もいるという。おそらく、水面下ではコスプレイヤーを巡るトラブルが続出しているのだろう。

 撮影はスタジオで行われ、密室で2人きりになることは普通にある。女性が男性と一対一で密室に籠もるのは、本来であれば、かなり危険なシチュエーションである。事務所に所属しているわけでもないアマチュアは、こうした場で何かあっても自己責任である。自分で身を守るしかないが、脅迫され、泣き寝入りになる例も多いといわれる。

 コスプレイヤーがトラブルに巻き込まれることは残念だ。性的な行為に及ぶ側は論外だが、事件をなくすためには、コスプレイヤー側にもある程度のモラルが求められるのではないだろうか。生誕祭で高額な“デート券”を販売することが、果たしてコスプレイヤーとして健全なのだろうか。それがキャラクターへの愛情表現につながるのだろうか。事件に巻き込まれる前に、よく考えていただきたいと思う。

元城 健
アニメ業界ウォッチャー。漫画やアニメの様々な情報に精通するほか、飲食業界の事情にも詳しい。飛び込み取材を得意とする。

デイリー新潮編集部

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