交際ゼロ日婚、性的関係を拒む妻に「俺を騙したのか」 不倫夫が抱いてしまう哀しき愛憎の根本原因

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前編【母親に無視された「お父さんに会いたい」の気持ち 幼少期の“連れ去り"が40歳男性にどんな悪影響を与えたか】からのつづき

 坪井亮輔さん(40歳・仮名=以下同)が、妹とともに母の“連れ去り”にあったのは10歳の時だった。父に会いたいという願いは無視され、母からの「新しいおとうさんがほしいよね」という提案は断固拒否。 高校生になって、ようやく父が親権を取り、妹と3人で生活することが叶った。だが、母の振る舞いによって女性への憎悪、そして女性と深い関係を築けないことから自分自身を呪うようになった、と亮輔さんはいう。

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 社会人になってから、自分自身に向かうネガティブな気持ちに耐えられなくなり、彼は「救われたい」と思うようになった。教会に行ったり寺院を巡ったりしてみたが、既存の宗教には救われなかった。そもそも神も仏も信じていないのだから、救われようがないとよくわかったと笑う。

「就職した企業での人間関係は悪くなかったし、仕事も楽しかった。社内で恋愛なんかして嫌な思いをするのは避けたかったから、恋愛はいっさい御法度だと自分に言い聞かせていました」

「あなたと結婚したい」

 26歳のとき、彼の直属の上司として赴任してきたのが柊子さんだった。6歳年上の彼女は、最初、年下かと思うほど若く見えた。童顔で若く見られると、仕事上、損することが多いんですと、彼女は最初の挨拶で笑いを誘った。

「丸顔で元気いっぱい、誰もが『こういう顔の知り合いがいる』というほど親しみやすいタイプ。でも一緒に仕事をするようになったらびっくりしました。それまでの上司とは明らかに違う。なあなあではすませない、思い切ったアイデアを出せと言う。新しいことをしなければ生き残っていけない、萎縮するなと言われ続けました。楽しくなければ仕事じゃないとか、会社の体質を変えようとか、大きなことも平気で言う」

 部署の雰囲気が変わり、みんながやる気になっていった。仕事がうまくいけば、さらに大きな仕事をしたくなる。会社も彼らの部署に期待してくれるようになっていた。

「2年ほどたったころ、仕事の打ち上げがあったんです。僕、何を思ったのか、柊子のそばに行って、『あなたと結婚したい』と言ってしまった。彼女はじっと僕を見つめて『本気?』と笑った。頷くと、彼女は大きな声で『みんな、私と亮輔くん、結婚しまーす』って。びっくりしましたけど、彼女の性格なら当然だったのかもしれない」

 つきあってたの、という声が響く中、柊子さんは「私たち、つきあってません。ふたりきりで飲んだこともない。でも結婚するから」と叫んだ。

いきなりの同居にとまどいも

 次の週末、彼が彼女の家に引っ越し、婚姻届を書いて友人たちのサインをもらい、翌日には提出した。さすがに同じ部署にいるのはまずいという話になり、彼が別の部署に異動することになった。妻のほうが立場が上なのでしかたがなかった。

「僕も公私の区別はつけたかったから、ホッとしました。フロアも違うし、それまでの華やかな部署と違って、地道な業務に就き、それも自分には合っていると思った。結婚生活は、軌道に乗るまで大変でした。僕は家事が一通りできるし、彼女もひとり暮らしが長いからできるんだけど、それまでつきあっていないふたりがいきなり同居ですから、お互いのプライベートなことがまったくわからない。同居していく上で、何を重視するのか、帰ってきたらベタベタしたいのか放っておいてほしいのか。なにもかも手探り、とにかく話し合いながら生活していくしかなかった。遠慮だけはしないようにしようと声をかけあいました」

 職場での相手しか知らないのだから、「こういう反応をするだろう」と予測しても、プライベートのときはまったく違う反応をすることもよくあった。それを楽しむしかないねと言いながらの生活だった。

「どうしていきなり結婚しようと言ったのと、柊子に聞かれたとき、『あなたのいない人生なんて考えられないと思ったから』と答えました。僕にとってはむしろ、そんな状態でいいよと言った柊子のほうが理解しがたい。すると『おもしろそうだったから』って。ヘンな人だなと思ったけど、柊子にとっては僕のほうがヘンな人だったみたい」

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