【クーアンドリク】ペットを失った客の怒りを逆撫でする「1頭売ったら1万円ボーナス」社内イベントの不見識 流通経路では「年間750頭の犬・猫が死んでいた」

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渾身のインセンティブ

 そして彼女は、社内の業務連絡で使われているLINEを見せてくれた。

 画面にあったのは1枚のポスターだ。中央に写るのは、同グループでナンバー2の地位にある「Coo & RIKU東日本」社長の小林大史氏。その下に幹部らしき7人の男女が並び、大きく《渾身のインセンティブ 小林杯》と書かれている。

 これは同社が8月に開催した、全国の店舗の社員に販売頭数を競わせる催しの告知ポスターである。1頭を売ると《最大1万円》の報酬が出て、成績上位に入れば、1位が10万円、2位が7万5000円、3位が5万円といった特別ボーナスがもらえる。《ルーキー部門》などの特別枠もあった。

 ポスターの中には《やるか? やらないか?》《本気の夏&自己更新の夏》などいった挑発的な文言も躍っている。クーリク経営陣は、これを同社とトラブルを抱える顧客が見たらどう思うか想像したことがあるのだろうか。このキャンペーンが行われていた8月は、上記した通り、引き渡しからたった数日で愛犬を失った顧客の告発などを、デイリー新潮が立て続けに報じていたタイミングなのである。

 女性社員は「情けない気持ちでいっぱいです」と続ける。

「まず本部がやるべきことは、お客様のお叱りを真摯に受け止め、二度とこのような事故が起きないよう動物の管理を全般的に見直すことです。けれど、彼らにとって大事なのは“命”ではなく目先の売上。だからこそ私たちに、このような餌をぶら下げ続けるのです」

モノのように扱われ、命を落としていく犬・猫たち

 8月末に行われた店員が参加するZoom会議でも、本部長は一連の報道に対する“言い訳”ばかりを述べていたという。

「挙句、このイベントに触れて、『会社の知名度がアップしたことをチャンスと捉えて頑張りましょう』です。ほとほと呆れました」(同・女性社員)

 8月31日発売の週刊新潮では、クーリクが運営する全国11の大規模繁殖場における2021年10月から1年間の繁殖状況をまとめた内部資料を紹介した。その中の「D犬率」という繁殖過程における死亡率は、一番高い月で34・8%、年平均22・5%だった。多い時で3匹に1匹の割合で死ぬ劣悪な環境で、クーリクの繁殖犬は出産しているのである。

 今回、新たにデイリー新潮が入手したD犬リストは、クーリクが自社の繁殖場やブリーダーから仕入れた後、店舗などで亡くなった犬・猫の実態をまとめたものだ。期間は昨年8月から今年7月までで、販売される前に亡くなった犬・猫の総数は751頭に上る。

 死亡場所で一番多いのは同社が運営している病院関連施設で、海動物病院・大宮本院(埼玉県)が131頭、アニマルケアセンター大宮(同前)が26頭、海動物病院・尼崎医院(兵庫県)が13頭、海動物病院・福岡東医院(福岡県)が11頭。店舗では、札幌東店(北海道)と東久留米店(東京都)が各11頭、釧路店(北海道)、松本店(長野県)、天王寺店(大阪府)が各10頭と続く。

「グループで運営している海動物病院に獣医師は在籍していますが、人数が足らず、店舗には月に1、2回程度しか訪れません。動物愛護管理法の規定で、各店舗には必ず1名の動物取扱責任者の有資格者を常駐させなければいけないのですが、クーリクはこの点も適当。なぜなら、有資格者も次々と辞めていくから。だから、資格のない店員をこっそり動物取扱責任者に選任したり、エリアマネージャーが数件の店舗を兼任したりする手法が横行してきました。その結果、体調を崩す犬・猫の手当がままならず、このように店舗で命を落とす犬・猫が続出してしまうのです」(クーアンドリク関係者)

次ページ:クーアンドリクからの回答(追記)

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