日ハムに去られた「札幌ドーム」の現状 「新モード」は見通しが甘すぎた 市民の怒りは行政に
札幌ドームはどうなっている?
「試算が甘かった」では済まされないようだ。
昨年まで日本ハムファイターズが本拠地にしていた札幌ドームの「新モード」が初めて使用されたのは、9月10日だった。ラグビー・ワールドカップ「日本対チリ戦」のパブリックビューイング・イベントが行われ、1860人が来場した。
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当日は巨大な幅31メートル、高さ18メートルの特設スクリーンが用意され、球場敷地内には屋台風の飲食店も出店、家族連れの来場者も終始笑顔だったという。しかし、このパブリックビューイング・イベントによるドーム使用料は、ゼロ。“お試し期間中”であり、ピーアールも兼ねての出血大サービスだった。
「新モードとは、昇降式の大型暗幕でドーム内を仕切るというものです。札幌ドームの収容人数は4万2000人ですが、野球以外では4万~5万人規模のイベントを行ってきました。それを、フルではなく1万人から2万人ほどの中規模イベントにも使ってもらえるよう、資材費などを含め、約10億円が投じられました」(地元メディア関係者)
ご承知のように、札幌ドームが新たな営業スタイルをスタートさせたのは、日本ハムにソッポを向かれたため。北広島市に自前球場のエスコンフィールドを構え、こちらは41試合目(7月12日)で観客動員数100万人を突破、1試合平均約2万5000人と好調な数字をたたき出している。
「エスコンフィールドでは音楽イベントなどが開催され、日本ハムの試合がない日も、来場者を集めています。5月末の運営会社の発表では、試合がない平日で5000人、休日になると1万人が訪れていました」(地元記者)
札幌ドームの指定管理者は、株式会社札幌ドーム。札幌市が55%の株式を所有する第3セクターであり、経営が立ち行かなくなれば、存続のために税金が投入されることになる。
「ファイターズに出て行かれてやっていけるのか?」という札幌市民の不安と心配を払拭するための新モードだったが、7月末時点でその予約者はゼロ。行政が北海道ラグビーフットボール協会に働き掛けて今回のパブリックビューイング・イベントが実現したのだが、「見込みも試算も甘かった」と言わざるを得ない。
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