日ハムに去られた「札幌ドーム」の現状 「新モード」は見通しが甘すぎた 市民の怒りは行政に

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札幌市の対応に不満も

「イベントそのものは好評でした。でも、JRや地下鉄各駅とドームを結ぶシャトルバスの完全運休も決まったばかりなんです。今までは3社が運行してきましたが、2社が先に運休を決め、残された1社も『9月16日から運休』と発表しました。3社とも乗務員不足が原因と説明していましたが」(前出・地元メディア関係者)

 ドーム周辺の飲食店も、売上げの低下に悩み、夜の営業をやめた店もあった。今やドームの運営に対する札幌市民の心配は「憤り」に変わり、その度合いは日を重ねるごとに強くなっているそうだ。

「秋元克広市長(67)の会見が原因です。当初はファイターズが移転したことへの憤りだったのですが、それが今では市長や市役所に向いています」(前出・同)

 6月末の定例会見で新モードの予約者がゼロであることを質問され、「どこを改善すれば、どういうふうに使っていただけるのかということを、しっかりやって行く期間なんじゃないかと思います」と答えた。

 市長の試行錯誤を続けていくとの発言は間違っていないが、定例会見後、「まるで他人事」「危機意識がない」といった批判の声も多く寄せられたのだ。

 さらに札幌市民をガッカリさせたのは、今夏の甲子園大会・南北の北海道予選だ。準決勝、決勝の舞台がエスコンフィールドになったのだ 。前年までは同じ札幌市内にある円山球場がその舞台だった。

「エスコンフィールドはメジャーリーグの球場とほぼ同じ形態なので、高校球児にも体験させてやりたいとの思いが北海道高野連にもあり、トントン拍子で決まりました。でも秋元市長はファイターズ移転後、アマチュアスポーツの大会も誘致していくと語っていたのに、また(エスコンのある)北広島市に取られてしまったと札幌市民は捉えているのです」(アマチュア野球担当記者)

 後日、札幌ドームは高校野球の秋季大会の準決勝、決勝の会場となることが決まったが、「甲子園大会」が視野に入る夏の大会とでは道民の関心も大きく違ってくる。また、札幌市は新モードの総工事費の影響で、「今年度は2億9400万円ほどの赤字になる」と発表していたが、これは新モードでのイベント予約が6件入ると見込んでの数値。しかし、9月14日現在、新モードでのイベント申し込みはゼロ。赤字額が膨らむことが確実になっているという。

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