幼い2人の娘は“死”を理解する前に命を落とした…「熊谷6人殺害事件」から8年、遺族男性がいまも法廷で戦い続ける理由

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「当時よりも今のほうが苦しいです」

 秋の始まりを告げるような、茜色に染まった西の空が目に入ると、加藤裕希さん(50)の脳裏には、あの日のことが思い出される。

「夏の終わりから秋へと変わる、日の暮れが早くなってきた頃の夕焼けが印象に残っています。事件が起きた季節ですから。あの時は葬儀や死亡届など色々な手続きに奔走し、警察には頻繁に呼び出されました。あれから8年が経ち、少しは気持ちが楽になったのではと思われがちですが、当時よりも今のほうが苦しいです」

 2015年9月16日、埼玉県熊谷市にある加藤さんの自宅で、妻の美和子さん(当時41歳)と長女・美咲さん(同10歳)、次女・春花さん(同7歳)が刃物で刺され、亡くなった。...

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