まだまだ暑くて…今の時期こそ知りたい汗対策 暑さで流れた汗を乾いたタオルより濡れタオルで拭うべき理由

ドクター新潮 ライフ

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 全国的に「暑すぎる!」の一言だった今夏。9月に入って暑さは緩んだものの、冷房を弱める場所や秋レジャーを楽しむ機会が増え、汗に関する悩みは変わらない……という人も多いだろう。雨の前の蒸し暑さが増す時期でもあるため、今こそ汗対策が必要といえる。制汗の専門家である株式会社マンダムの研究員、久加亜由美さんに「今すぐ実行できる汗対策」を聞いた。

発汗は限られた動物だけが持つ特殊機能

――人間はなぜ汗をかくのですか?

 体温が上がり過ぎないよう体を冷やす、人間を含む限られた動物だけが持っている仕組みです。汗は気化する際に体表面の熱を奪うことで体温を下げる働きがあります。汗のほとんどは水分で、ほかに塩分とごく微量のアミノ酸、タンパク質等が含まれています。部位としては、胸や背中など体幹部やワキなどの他、実は頭部も汗をかきやすいですね。汗で髪の毛がぐっしょり濡れている子どものように、実は大人もかいています。

――「適量の汗」はどの程度の量ですか?

「適量の汗」の基準は難しく、同じ量でも気にする方としない方がいます。そのため、生活に支障が出たり、不自由を感じたりすることが目安の1つです。逆に暑い時期でも汗をかかない方は、体温調節がうまく機能せず、体内に熱がこもっている可能性があります。体に良いとは言えない状態です。

流れる汗は「無効発汗」!?

――外出中に汗がだらだらと流れてきました。どうすればいいですか?

 暑さやほてりで必要以上に流れる汗は「無効発汗」と呼ばれ、体温調節の機能がすでに失われています。流れてきた汗は拭いましょう。

 ただし、体温調節のために体が湿っている状態を維持すべきなので、乾いたタオルよりも濡れタオルやボディ用のウェットシートが良いでしょう。この際に体に付着した水分は気化して熱を奪うので、体温を下げる働きがあります。

――発汗を抑える方法はありますか?

 制汗効果のあるデオドラント剤を使用することです。ただし、使用するのは汗をかく前。デオドラント剤は汗をかく前に使用する商品です。

 また、暑さやほてりからくる汗は、体を冷やすことでおさまります。特に首や頬は清涼感を覚えやすい部位なので、冷やす面積が広ければ広いほど効果的です。また、首やワキの下など太い血管が通っている場所を冷やすと、冷えた血液が全身にめぐって効果的に体を冷やすことができます。

 顔やワキなど上半身の汗を抑える方法に「止汗法」があります。体の片側に圧を加えると、その反対側から汗が出にくくなる「半側発汗」の仕組みを使ったもので、舞台俳優さんの間でよく知られています。これを利用したのが「舞妓の高帯」と呼ばれる紐です。ワキの下から胸の上部を通るように紐で体を縛ると、顔から上の汗が抑えられるとのことです。

 メントールが配合されたボディ用のウェットシートなどを使用して、ひんやりとした清涼感を得るという方法もあります。メントール入りのボディシートを使用すると、体感温度が4.7度下がるという研究結果が出ています。使用後にハンディファンを使用していただくと、より清涼感を感じ、快適に過ごせるでしょう。

 また、日焼け止めや化粧品などを顔に塗ったのに、すぐに顔に汗をかいてしまうことがありますよね。塗る前にフェイシャルペーパーなどで鼻回りや頬を数秒押さえておくと、比較的緩和されるでしょう。

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