ドリル優子の原点はここに 初の女性宰相候補「小渕自民党選対委員長」の超デタラメな政治資金

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「東京ドーム巨人戦ツアー」

 付言すれば、12年の梅沢富美男と中村玉緒公演に関しては、そもそも報告書に収支の記載自体がない。もしや、出演者次第で政治活動と見なされない場合があるというのか。謎は深まるばかりだ。

 観劇会に負けず劣らず不可解なのが、「東京ドーム巨人戦ツアー」である。

 改めて報告書によれば、小渕優子後援会は10年に「野球観戦」として16万3500円の収入を記載しており、その一方で東京ドームには3回にわたり計51万4300円が支払われている。

 ここでも、差額の35万円は行方不明。ちなみに、「大会費」の明治座とは異なり「行事費」扱いで、添付された領収書の名目は「入場券代」。同年7月4日のゲームで、3700円の席を94人分購入したことになっている。

 11年はさらにエスカレートする。

「野球観戦」の収入2万5000円に対し、ドームには3回計59万3200円の支出。57万円が消えてしまった。参加者によれば、

「後援会青年部のメンバーを中心に観に行きました。切符代は実費で払っていますし、年によって小渕先生のスケジュールが空いていれば、東京でお会いすることもありました」

 その構図は明治座とそっくり。杜撰さに拍車が掛かったに過ぎないのだ。

 こういった政治資金のデタラメぶりを小渕大臣に直接尋ねると、

「事務所がお答えすると話しています……」

 とまるで他人事のように語っていたが――。

〈私自身、分からないことが多すぎる〉

 週刊新潮が一連の事実を報じたその5日後、小渕大臣は辞任を決断した。辞任会見では、収支が乖離している行事費用について、

〈私自身、分からないことが多すぎる〉

〈何でこうなっているのか〉

〈全てを見通せない〉

 そうしたフレーズを繰り出しながら、「疑問」「疑念」といった単語を反復するのだった。

 何しろ、3年間でざっと3000万円近くが宙に浮いている格好。あるいは自身も狐につままれた心境なのかもしれない。

 ところが、それはこれまで見てきた東京でのツアーに限らないようで、

「毎年、選挙区内の地区ごとに開かれている新年会でも、同じような事態が起きているのです」

 とは、地元の群馬県中之条町にある政治団体「小渕優子後援会」のさる幹部である。

 おおむね1月から2月初めにかけ、群馬5区内では連日、後援会や、小渕議員が支部長を務める「自民党群馬県第5選挙区支部」の支払いで新年会が開かれる。その会場は、例えば高崎市内の温泉施設、あるいは安中市内の宴会場など、地区によって異なるのだが、

「出席するのは地方議員や後援会メンバーで、いずれも会費制。両団体とも、会場に支払った飲食代については、組織活動費の『行事費』などとして計上しています。ところが、なぜか参加者から集めたはずの収入の記載が、一切ないのです」(同)

 というから、明治座や東京ドームの“図式”と酷似している。

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