低迷中日「立浪監督」の退任を求める声が強まる一方で…「現場にお任せ」「派閥争い」という球団の“問題体質”はあまりに深刻だ

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“全権監督”に頼ったやり方から抜け出せていない

「中日は1980年代後半からは星野仙一さん、2000年代からは落合博満さんとグラウンドだけでなく、外でも影響力の大きい人物が監督を務めて、結果を出してきました。言ってみれば、フロントは“監督の言われた通り”に動いているだけで、自分たちでどうやって球団を強化していこうという発想がないと思います。2020年11月の契約更改の場で、契約更改の場で、福谷浩司選手が球団側に将来的なビジョンがあるのか、と聞いたこともありました。(2011年のオフに落合監督が退団するまで)カリスマ性のある指導者に頼っていたツケが出ていますね。生え抜きのスターで、『ミスタードラゴンズ』として人気があった立浪監督を連れてきたから、『あとは現場にお任せ』というスタンスに見えます。立浪監督が球団側にあれこれ要求していなければ、もっとチームは悪い状況になっていた可能性もあるかもしれません」(地元テレビ局のスポーツ担当記者)

 かつては監督がグラウンド外での業務も担い、チームを強化するというケースが多かったが、現在はフロントが主導になって中長期的なチーム作りを進め、監督はあくまでも“現場の指揮官”に徹することが一般的になっている。しかし、前出の記者の話を聞くと、中日はまだまだ1人のカリスマ性のある“全権監督”に頼ったやり方から抜け出せていない部分が大いに残っていると言えそうだ。

 中日球団の“問題体質”は他にもあるという。前出のスポーツ担当記者が続ける。

「以前も『オーナー派』、『球団社長派』といった球団内での争いが話題となりましたが、中日は何かにつけて派閥が多い。それはフロントだけでなく、OBや現役選手にも及んでいて、監督やコーチの人事にも如実に表れているようです。だから、現在の首脳陣に対して、良く思わない勢力が少なからず球団の内部にいて、一枚岩になり切れない部分があるのではないでしょうか。星野さんや落合さんくらい影響力がある人が、監督で結果が出ている時はそこまで問題になりませんでしたが、チームが低迷しているのに、そんなことで内輪もめをしていたら、なかなか強くなるのも難しいですよね……」

 筆者は、これまで「デイリー新潮」に寄稿した記事のなかで、たびたび立浪監督の采配に疑問を呈してきたが、中日低迷の全責任を立浪監督にすべて押し付けることは、さすがに酷だと考えている。球団側が将来的なビジョンを示し、根本的な体質を変えなければ、強い中日が復活する日はまだまだ先になりそうだ。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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