「命を絶ちそうになったときに止めてくれた」 発達障害、双極性障害に苦しむライター・姫野桂が語る愛猫への感謝

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保護猫カフェでの運命的な出会い

『生きづらさにまみれて』『発達障害グレーゾーン』などのヒット作で知られる、ライターの姫野桂さん。彼女は30歳で発達障害(ADHDと算数LD)と双極性障害、摂食障害の診断が下された。うつ状態で苦しむ彼女を支えたのは、エメラルドグリーンの瞳をもつ白猫「小雪」で……。

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 2014年秋、私は運命の出逢いをした。以前から気になっていた保護猫カフェにてビビッときた猫がいたのだ。パッと見は白猫だが、右耳と後頭部にかけて茶色、ハの字形の茶色い眉毛模様、鼻の横にも茶色の模様があり、短い尻尾には黒と茶が混じり合った模様が入っている。目は美しいエメラルドグリーン。月齢は約8カ月のメス。思わず「かわいい」と声が漏れ、その子を抱っこすると気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らしてくれた。他にも猫はたくさんいたが、私はその子にしかもう目がいかなくなってしまった。そこの保護猫団体はその日のうちに譲渡とはいかず、後日キャリーを持って審査に行き、合格して初めて譲渡してもらえるシステムだった。そして約1カ月後に審査の予約を入れ、その子を引き取りに行った。その際、保護時に腰骨と右後ろ脚にかけて11箇所も骨折をしており、今歩けているのが奇跡であること、今後オムツが必要になる可能性があることを伝えられた。でも私は将来この子がオムツ生活になっても一緒にいたいと思って引き取ることにした。審査も無事通り、その子をキャリーに入れて電車に乗って自宅に連れ帰った。うちに来た初日から夢中になっておもちゃで遊んでいた。白くて小さくて雪のようだったので、私はその子に「小雪」と名付けた。

遊んでいた男性からの意地悪な質問

 小雪と生活するようになって半年ほどたった頃、当時付き合っていた彼氏に振られた。約3年間の片思いの末に実った恋だったので、悲しくて涙が止まらず「信じられるのはこゆちゃんだけだよ、これからも一緒だよ」と言って小雪を抱きしめた。小雪は私がうれしいときも楽しいときも悲しいときも、いつも一緒にいて支えてくれる。

 失恋後、次々に男性と遊んだ。その中でとても意地悪な人がいた。「もし、猫嫌いな人と結婚することになったら猫はどうするの?」と聞いてきたのだ。なんとデリカシーのない男だと思いながら私は「小雪を選ぶ」と即答した。

 30歳のとき、オーバーワークで精神状態が不安定になり心療内科に行ったところ、発達障害(ADHDと算数LD)と双極性障害、摂食障害の診断が下された。双極性障害のうつ状態のときは本当に命を絶ちそうになったが、小雪が止めてくれた。小雪がいるから生きなければいけない。小雪は命の恩人だ。

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