閉所恐怖症の私が窓のない部屋で連日、取り調べられて…大川原加工機「女性社員」が証言する“警察庁公安部の恐ろしい手口”

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無理やり取られた調書

 体調を崩したにもかかわらず、警視庁はなおもAさんを聴取したがる。仕方なく会社の顧問弁護士の高田剛氏(和田倉門法律事務所)に相談し、「田村浩太郎 以外で、原宿署ではなく近くて窓があるところ」と条件を付けた。担当刑事は代わり、町田署と玉川署の窓のある会議室になった。

「その時には調書が出来上がっていました。出来上がった調書を読み上げられ、署名をするよう要求されました」

 東京地検にも呼ばれたが、担当した検事は田村警部補が作った調書を見て、「これは無理やり取られた調書かな?」とはっきり言ったという。

「取り調べを録音・録画するカメラが回っている状況でそういうことを言うわけですから、検察も彼の取り調べの強引さと出鱈目さはわかっていたのかと感じました」

 この検事は、植田彩花という検察官で起訴をした塚部貴子検事の部下だった。実はこの検事は、同様のことを財務担当社員の調書に対しても言っている。塚部検事には報告していたはずだが、部下が懸念していたにもかかわらず、起訴に走ったのだ。

勇気ある警察官に感謝

 今年6月30日、大川原社長らが国と東京都を相手に起こしている損害賠償請求裁判で、公安部で捜査を担当した2人の警部補が高田弁護士の尋問に捜査の実態を証言した。浜崎賢太警部補は「捏造でした」「動機は上司らの出世欲」とまで明言。時友仁警部補は「上司に再実験するなど慎重な捜査をするように進言すると『事件を潰す気か』と叱責された」と証言した。

 Aさんはその裁判を傍聴していた。

「本当に嬉しかった。これで裁判に勝ったとか思うよりも、卑怯な悪魔ばかりだと思っていた警察に本当に正義感の強い素晴らしい人がいたことが嬉しかった。よくぞ勇気を出して言ってくれたと思いました。時友さんと濱崎さんは、まっすぐ前を見てしっかりと話してくれました。2人は真の警察官だと思います。ああいう人が活躍できる世の中になってほしい」

 Aさんの取り調べをしていた際の時友警部補は、無表情で無機質に話すだけだった。

「本当はものすごく自分を押し殺して仕事をしてきたのでしょう。体中に蕁麻疹ができていると裁判で打ち明けた若い警官もいました。みんな組織の意向で本意ではないことをさせられているからでしょう」

 その1週間前も傍聴に行った。

「安積(伸介)警部補は嘘ばかり言っていました。私は間近で顔を見てやろうと思って、閉廷した時、エレベーターまで彼を追っかけて、どんな表情をしているのか見てやりました。おどおどとして、すぐその場を立ち去りたいという目でした」

 他にも印象深かった証言者がいる。

「私も何度か電話でやり取りをしたことがある元経産省職員は、足が震えていました。高田弁護士が証拠のメールを提示した後は、特に震えがひどかったと思います」

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