「企業防衛」弁護士が指南 乗っ取り屋「アクティビスト」に克つ法術

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一段と活発化

 今年6月に株主総会を開催した上場企業2300社のうち、過去最多となる90社がアクティビストらから株主提案を突き付けられている。つまり、買収の脅威に晒されている企業が少なからずあるわけだが、企業防衛の世界で際立つ存在が西村あさひ法律事務所のパートナー、太田洋弁護士(55)だ。

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 太田弁護士はこれまで、村上世彰氏率いる村上ファンドなど名立たるアクティビストと対峙してきた。窮地を救った企業は40社を超える。その経験をもとに、アクティビストが引き起こす問題について解説する。

「株主提案が過去最多になった理由として、東証がPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業に対し、経営改善を求めていることが挙げられます。それに加え、コロナ禍を脱し企業業績が上向いたことが相俟(ま)って、株主還元の圧力が高まっているのです」

 アクティビストのターゲットにされやすいのは、現預金など内部留保は潤沢なのに株価が割安な企業である。先駆けは、村上ファンドが23年前、東証2部(当時)上場の「昭栄」に仕掛けた敵対的TOB(株式公開買い付け)。アクティビストにとって、PBR1倍未満は買収戦略上、重要な指標なのだ。

「それ以降、同意なき買収、敵対的買収は一段と活発化しています。2020年1月、村上さんが実質支配するファンド“シティインデックスイレブンス”が、PBR1倍割れの“東芝機械”(現・芝浦機械)へのTOBに踏み切りました。それに対し、東芝機械はシティ以外の株主に新株予約権を無償で割り当てる“ポイズンピル”と呼ばれる買収防衛策を講じた。結局、シティはTOBから撤退せざるを得なくなりました」

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