「スマホがないなら死んだ方がマシ」「小学生で親の看病と姉妹の世話を…」 小中高生の自殺が激増! 背景にスマホ依存か

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 不要不急の外出を行わず、街では密閉・密集・密接の3密を回避、さらにはマスク生活を余儀なくされたコロナ禍の3年半。日本人が素直に従ってきたこの「新しい生活様式」は、成長途上にある子供にどんな影響を与えたのか。現在の子供たちの心と体を徹底検証する。【石井光太/作家】

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 今年3月、厚生労働省と警察庁は、昨年の小中高生の自殺者数が1980年に統計を取り始めてから過去最多の514人に達したことを明らかにした。コロナ禍前の2019年の自殺者数399人と比べると、28%も増加している。

 もっとも自殺者数の増加は、子供のメンタルに関する問題全体から見れば氷山の一角に過ぎない。自殺という最悪の事態にまで至らなくても、その一歩手前では信じられないような数の子供たちが悶え苦しんでいる。

 国立成育医療研究センターが中心になって結成された「コロナ×こども本部」は、コロナ禍で小中学生の7人に1人が自傷行為をしていたという調査結果を出している。自傷行為にはリストカットの他に、髪を抜く、皮膚をめくる、体をたたくなどの行為も含まれる。

 また、小中学生の不登校も、2019年度には18万1272人だったのが、2021年度には約24万5千人と過去最多を記録した。わずか2年間で6万人以上も増えた計算になる。この中には適応障害と診断されて病欠扱いになった子や、別室登校、フリースクールへ通う子は含まれないので、実際は教室に通えない子の数はもっと多いだろう。

「毎日10回以上『死にたい』という言葉を聞く」

 都内の中学校で養護教諭として働く女性は言う。

「今の子供たちを見ていると、具体的な症状が出ていない子であっても実はギリギリの精神状態にあるということが珍しくありません。子供たちから毎日10回以上『死にたい』という言葉を聞くぐらいですから。コロナ禍によって自己否定感みたいなものが子供たちの間にまん延しているように感じます」

 この中学では、コロナ禍を機に保健室を訪れる子供が急増したそうだ。そこで保健室に「予約制」を導入し、1人当たりの利用時間は最大1時間までとした。すると、あっという間に1週間の朝から夕方まですべての時間が埋まったという。

 子供たちからの訴えは、「教室にいるとひどい頭痛がする」「夜に眠ることができない」「家に帰りたくない」などさまざまだ。現在は養護教諭だけでは手に負えないため、副校長と女性教師1名が保健室に張り付いているという。

 新型コロナの感染拡大から3年。子供たちの心に何が起きているのか――。

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