4千回の実地調査で見えた「良い高齢者施設の見分け方」 オススメの11施設をプロが紹介!

ドクター新潮 ライフ

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 2060年に日本の高齢化率(65歳以上の高齢者数が総人口に占める割合)は4割に達するという。加速する高齢社会にあって、私たちはいかに自分や親世代の“ついのすみか”を選ぶべきか。国内外の高齢者住宅・施設を調査してきた上岡榮信氏による探し方ガイド。【上岡榮信/一般社団法人 有料老人ホーム入居支援センター理事長】

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 国連では65歳以上を「高齢者」と定義している。それに基づくと、現在の日本の高齢者は約3627万人で過去最多だ。そのうちおよそ600万人は、何らかの形で介護保険を利用しているとみられている。約400万人は自宅で、残りの200万人が特別養護老人ホーム(特養)、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、療養型病院といった施設で暮らしている。

 いわゆる“ついのすみか”を求めて、高齢者とその家族は、利用料やサービス内容などを細かく調べることだろう。だが、高齢者を受け入れる施設は10種以上にも分類される。パンフレットや資料をきちんと読み込む必要があるが、各施設の長所や短所などを完全に理解するのは至難の業だ。

 介護事業は厚生労働省が細則を定めている。施設の種類が異なれば、自ずと表示や定義が異なってくる。お役所的には当然であっても、私たち利用者にはなじみの薄い用語や言い回しなどが少なくない。やむを得ない面もあるようだが、日本の高齢者施設や高齢者住宅には種類や定義、それに付随する表示が多すぎる。

 しかも、仮に理解を深めたとしても、それが完全なる安心につながるとは言い切れない。だからこそ私は、中立の立場で利用者の目線に立ってお手伝いしたいと、「有料老人ホーム入居支援センター」を設立した。

三つのステージ

 本題に入る前に、基本的な点を押さえておきたい。

 私は高齢者を「老後」「介護」「最期」という三つのステージで捉えることが大切だと考えている。入居者の体力や気力、疾病、認知症の進行の度合いなどによってどのステージに当てはまるのかを判断することが、施設選びの際に大切だからだ。その際、年齢はさほど重要ではない。

 まず「老後」。これは自立あるいは健常な状態でいる時期を指す。具体的に言えば、自分の身の回りの世話を介助なしでこなすことが可能で、自分がしたいことや、誰かにしてほしいことを言葉や文章で明確に伝えられる状態だ。実際、「要支援1」や「要支援2」に分類されて施設を利用する方でも、生き生きと元気で自立しているケースは珍しくない。

 次に「介護」。文字通り、厚生労働省が定める「要介護認定等基準時間」で「要介護1」から「要介護5」に認定された方が当てはまる。介護度の認定は、一般的な日常的動作が自分だけでできるか、助力が必要かで分かれる。

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