「拉致対策のドン」によるヤジ騒動に批判噴出 「横田早紀江さん」対談イベントで「石川正一郎」内閣官房参与が「誘導尋問やめろ」と声を上げたワケ

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 北朝鮮による拉致被害者の家族が対談する厳粛な場で、前代未聞の“ヤジ騒動”が持ち上がった。しかもヤジを飛ばしたのは、政府の拉致問題対策の「ドン」と呼ばれる人物だったため、火に油を注ぐ形に。騒動の背後にある、拉致問題をめぐる国の“不都合な真実”とは――。

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 8月2日、東京・日本橋高島屋で、拉致被害者である横田めぐみさんの写真展が開催された。初日にあたるこの日、会場には報道関係者も含め200人近くの聴衆が詰めかけ、松野博一・官房長官も顔を見せるなど、大きな注目を集めた。

 理由は〈娘に会いたい〉と題して、拉致被害者家族の横田早紀江さんと有本明弘さんの対談が予定されていたためだ。当日、ファシリテーターを務めたジャーナリストの高世仁氏がこう話す。

「拉致問題に進展が見られないなか、被害者の親世代は次々と鬼籍に入られています。87歳の早紀江さんと95歳の有本さんによる貴重な対談の場が設けられたとあって、当日は立ち見客も出るほどでした。聴衆のなかには、北朝鮮に連れ去られた娘の思い出を語るお二人の話に目頭を押さえる者も現れるなど、皆が感銘を受けて静かに聞き入っていた。ところが対談が後半に差し掛かった時、ちょっとした“騒動”が起きたのです」

 あろうことか、会場の後方から「誘導尋問してるんじゃねえぞ!」とのヤジが飛んだのだ。

「拉致対のドン」

 高世氏が続ける。

「ヤジを発した人物の前にいた男性にあとで話を聞いたところ、対談の途中からブツブツと背中越しに文句を言う声が聞こえ始め、私が早紀江さんにある質問をした直後に“誘導尋問するな”との声が上がったそうです。男性が驚いて振り向くと、ヤジを発したのは初老の男性で、首から写真付きのIDカードを下げていた。それを確認すると〈石川正一郎〉との名前が書かれていたのです」

 拉致被害者家族の対談を妨げかねない非常識な茶々を入れたのは、今年3月まで内閣官房の拉致問題対策本部事務局長を9年務め、現在は内閣官房参与の職にある石川正一郎その人だったのだ。

 石川氏は拉致対事務局長に就く前に神奈川県警本部長なども務めたが、県警関係者が当時の様子をこう振り返る。

「いつもブツブツと文句を言って、気に入らないことがあると、すぐに怒鳴る短気な性格。特に部下への当たりがキツく、“パワハラだ”との声も一部で上がっていました」

 幸いにも、ヤジは壇上の早紀江さんらの耳に届かず、対談自体は無事、進行。一方で高世氏によるとヤジが飛んだタイミングから、発言の意図や背景について「透けて見えてくる」部分があるという。

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