クーリングタイムの評判は今ひとつ? 暑すぎる「夏の甲子園」問題で議論百出 高校球児がスポーツライターに漏らした本音は

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松井は2部制

 星陵高校時代、甲子園での5打席連続敬遠が社会問題化した元大リーガーの松井秀喜氏もその1人だ。スポーツ報知の企画で高校野球改革に言及した(註)。

《課題は日程だと感じますね。多くの地区は7月開幕ですが、もし可能ならば6月から始めるとかできないかと思いますが、難しいのでしょうかね? (中略)勝ち上がっても、みんなフラフラになりながらやって、それが美談のようなドラマとして扱われるのは違和感があります。連戦や過密日程に慣れてしまっていることが異常で、普通に考えたら、やはり投手への負担は大きいでしょう。『勝利のために、痛みをこらえて投げ続けました』みたいなのは、私としてはもう見たくないですね》

 さらに夏の甲子園については、

《夏の甲子園は前半、後半のような2部制にすれば負担は軽減されるのではと感じますが、それも難しいのでしょうかね? そうすれば阪神も途中で一度、帰って来られますし、死のロードもなくなります。夏休みいっぱいを使って、甲子園大会をやってもいいのではとも思います。高校生の体はまだ成長過程ですから、守ってあげないといけません》

 一方、スポーツ文化評論家の玉木正之氏との共著「真夏の甲子園はいらない 問題だらけの高校野球」を上梓した作家でスポーツライターの小林信也氏は、秋以降の開催を主張している。

 安倍氏は言う。

「2部制については、8月上旬と下旬に分けたとしても、暑さはそれほど変わりません。間を空けることで緊張感が途絶える恐れがあります。秋開催というのも、選手たちに不利益が生じる恐れがあります。高校球児はみんながみんなプロに進むわけではありません。一般受験で大学に進学しようという生徒もいるのです。甲子園とはいえ、秋まで高校の部活に時間を取られては、一般の生徒よりも不利になってしまいます」

当事者に聞け

 タレントの伊集院光は、6日放送のラジオ番組「石橋貴明のGATE7」(TBSラジオ)にゲスト出演し、こう提言した。

伊集院:俺は決勝戦とかベスト8は甲子園でいいから、その手前まではドームでやったほうがいいんじゃないかと。甲子園にちゃんと敬意を持つために、決勝は必ず甲子園でやりましょう。だけど、各地方にドーム球場ができたから、そこで(各地区の)頂点までは持ってきてもいいんじゃなかと。九州のトップは福岡ドームで決めて。地方ごとの何試合かをドームでやると。

――これに対し、帝京高校野球部出身のとんねるず・石橋貴明は、

石橋:そうねえ。女子(硬式野球)の高校生の大会、決勝だけ甲子園でやって、2校しか味わえないのは……。やっぱりあそこに入ってやるっていうのが、その人たちのその後の人生において、『俺、甲子園出たことあるんだぜ』というのは、野球やっている奴からすると『え! 甲子園出たことあるの』って。申し訳ないけど俺、レッド吉田とゴルゴ松本、何のあれもないけど、お前ら甲子園に出てるのっていう……。

――TIMのレッド吉田は東山高校(京都)の控え投手として、ゴルゴ松本もレギュラーではないが熊谷商業高校(埼玉)で甲子園出場経験がある。芸人としては天下を取った石橋ですら、甲子園に行ったという点では彼らに頭が上がらないのだ。

 再び安倍氏の話。

「私は球児たちから夏の大会についてアンケートを集めています。例えば、決勝以外はドーム球場での開催については、彼らの過半数がこう答えています。『真夏の甲子園を目指しているから、厳しい練習に耐えられるんだ』と。この意見は尊重されるべきではないでしょうか。投手の酷使を問題にする方もいますが、昔と違って今は監督も選手の体調を気遣い、話し合って起用することが増えています。肝心なことは、“改革”というのであれば、まずは主役であり当事者の選手たちに聞くことだと思います。どうすることが一番良いかを球児たちに聞くこともなく、主催の高野連(日本高等学校野球連盟)や朝日新聞が大人の判断で“改革”と称して一方的に変えてしまうことには違和感がありますね」

註:松井秀喜さんが高校野球改革を提言「甲子園2部制に」「高校生守らないと」…「ゴジLIVE」(スポーツ報知・電子版:7月25日配信)

デイリー新潮編集部

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