「総理や政府には戦略的発想が出てこない」 佐藤正久元外務副大臣が防衛装備品の海外移転に関して徹底批判

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非現実的な規定

 さらに、現実を見据えた議論が必要と強調する。

「現行の防衛装備移転三原則の運用指針では、救難、輸送、警戒、監視、掃海の“5類型”のみに移転が許されている。シーレーンの確保が念頭にあるからですが、これが定められた平成26年当時といまでは、状況がまったく異なります」

 この点、公明党には類型維持を主張する意見が強い。

「5類型は“やっていいこと”を明文化するポジティブリスト。これを撤廃して、禁止事項を定めるネガティブリスト方式に改めるべきです。類型判断に手間取り“隙間”が生じれば、迅速な対応が取れなくなってしまう」

 現時点で日本からの防衛装備品の海外移転は、令和2年にフィリピンと契約が成立した4基の警戒管制レーダーが最初で最後だ。

「日本有事の際は、同盟国や同志国と連携して武器や弾薬を相互にやり取りする枠組みが必要になります。現状では、日本の接続水域内で海自艦が他国の艦船の求めに応じて弾薬を提供するのも“装備品の移転”に相当する。こういう非現実的な規定も、即急に見直す必要があるんです」

 7月25日に総理は検討の加速化を指示した。が、本気の度合いは未知数だ。

週刊新潮 2023年8月3日号掲載

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