伊藤沙莉主演「シッコウ!!」 主役ではない織田裕二の立ち位置 月9「競争の番人」との違いも

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 伊藤沙莉(29)が主演しているテレビ朝日の連続ドラマ「シッコウ!!~犬と私と執行官~」(火曜午後9時)の評判がいい。もっとも、観ている人の大半は2番手の織田裕二(55)のファン世代。あらためて、なぜ織田は主演ではないのか?(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)

織田裕二世代が視聴者の中心

 伊藤沙莉がゴールデン帯(午後7~同10時)の連続ドラマに主演するのは初めて。放送開始前はそれが話題になったが、フタを開けてみると、観ている人の多くは2番手の織田裕二と同世代だった。

 視聴率を見てみたい。7月18日放送の第3話は個人全体視聴率が5.4%。関東の総視聴人数は約4200万人、その1%は約42万人だから、約226万8000人が観ていた。堂々の好成績だ。世帯視聴率も9.2%と高かった。

 もっとも、個人視聴率を13歳から49歳に絞ったコア視聴率は2.0%。平凡な数字だ。批判が目立つフジテレビ「真夏のシンデレラ」の第3話(同17日)で記録されたコア視聴率の2.6%より低い。

 さらに細かく視聴率を見たい。13歳から19歳までに限定したT層の個人視聴率は0.5%。20歳から34歳までの女性に絞ったF1層の個人視聴率は1.8%。若者の視聴者は少ない。観ている人の多くは50代以上なのである。

 55歳の織田は1987年の映画「湘南爆走族」の石川晃役でデビュー。1991年の連ドラ「東京ラブストーリー」(フジ)の永尾完治役でスターになると、以降はトップ集団の1人であり続けている。ここまで持久力のある俳優はごく僅か。織田と同時代を生きてきた50代以上には思い入れが強い存在に違いない。

「俳優・織田裕二」の強みが光る役柄

 地上波の連ドラに出ないと、なぜか「落ち目」と決め付けられてしまう悪しき風潮があり、織田もそう言われたことがある。だが、WOWOW「監査役 野崎修平」(2018年)、同「頭取 野崎修平」(2020年)、NHK-BSプレミアム・BS4K「ガラパゴス」(今年2月)にそれぞれ主演し、円熟した演技を見せた。特に「監査役 野崎修平」で演じた不正と戦うサラリーマン役は出色だった。

 織田の強みは、自分の年齢に近い役柄が出来ることと、シリアスとコメディのどちらも演じられるところ。「シッコウ!!」で演じている執行官・小原樹も、ややくたびれたバツイチの50代だ。また、大半のシーンはシリアスだが、泥棒に間違えられて「失礼にも程がある!」とオーバーに憤慨するなどコミカルな演技も見せている。

 2枚目俳優の中には50歳を過ぎると途端に存在感が薄くなる人もいる。容姿に頼る演技しか出来ないからだ。また、シリアスな演技は良いものの、コミカルをやると、滑ってしまう人もいる。織田は違う。トップ集団の1人であり続けているのも納得である。

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