「ビッグモーター」不正問題 「佐藤隆太」CM解除成立でも残る損害賠償請求の現実味

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 国交省が「立ち入り検査」の検討に入ったことで、ビッグモーターの不正請求問題は行政が真相解明に乗り出す事態へと発展した。一方で同社のCMキャラクターを務めた俳優・佐藤隆太(43)との間で勃発した契約解除問題はついに決着。しかし協議が長引いた背景にあるCM契約の「いびつな実態」と、佐藤の“反撃”の可能性について専門家が指摘した。

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 7月20日、中古車販売大手「ビッグモーター」のホームページから佐藤隆太の写真が消え、出演するCM動画も非公開になった。その理由について、ビッグモーターは「佐藤さんにこれ以上、ご迷惑をおかけできない」と説明。テレビでのCM放送も「取りやめる方向で調整を進めている」と明らかにした。

 佐藤が所属するケイファクトリーも21日、ホームページ上で「20日付で契約解除に至りました」と報告。一連の成り行きを見守ってきた大手芸能プロ関係者が、協議の裏側についてこう語る。

「そもそも今回のようにタレント側からCM契約の解除を申し出るなど、これまで聞いたことがない前代未聞のケース。通常、タレントと企業間で結ばれるCM契約では、企業側からタレントに対し“商品や広告主のブランドと信用を損なわない”行動を求める義務条項が明記されるが、タレント側から広告主へ“法令順守”や“(タレントの)イメージ保持”を求めることはないのが一般的です」

 つまり企業側には契約解除できる条項はあっても、タレント側にはない「片務的な契約」が多いのが実態という。

優位に立つ広告主

 その理由について、企業法務に詳しい弁護士の加藤博太郎氏がこう話す。

「CM出演に際して作成される契約書は、基本的に発注者(広告主)主導でつくられるケースが多く、また契約書の作成目的の一つを“タレントに企業イメージを守らせるため”と考える広告主がいまも少なくないという事情があります。今回、解除に向けた協議にこれだけ時間がかかったのは、タレント側から契約解除できるような取り決めが交わされていなかったためと見るのが自然。佐藤氏の所属事務所が“協議中”であることをあえて公にしたのも、契約書に則った行動でなかったためと推察されます」

 最近は、タレント側からの解除を可能とする契約書の締結事例も増えつつあるというが、まだ少数派に属するとも。

「大抵の場合、CM出演に関する契約は広告主と所属事務所、そして広告代理店の3者で締結されます。ただ大手広告代理店が持ってきたCM案件でクライアントが上場企業だったりすると、事務所側から契約内容に異議を申し立てたり、注文を付けたりするのは憚られる雰囲気がある」(前出・芸能プロ関係者)

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