痛風予防に「ビールより焼酎」は間違い? 「抜け毛対策に海藻」は根拠なし? 誤解だらけの健康法を科学的に検証

ドクター新潮 ライフ

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 あの食材が良いらしい、これを食べると効くらしい。巷(ちまた)に溢れる「食の健康情報」。だが、そこには勘違いや思い込みが紛れ込んでいることも少なくない。これまでの食常識が実は全く逆だったりして……。食と栄養の専門家が解説する「科学的に正しい10の新・食常識」。【加藤久典/女子栄養大学教授】

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 すっぽん鍋を食べたら、肌がプルプルになった――。美容や健康に気を使っている人で、そう感じた経験がある人は少なくないかもしれません。

 しかし、水を差すようですが、すっぽんに多く含まれていることで知られるコラーゲンは繊維状のタンパク質です。そして、食品中に含まれるタンパク質は胃腸でアミノ酸あるいはアミノ酸数個程度からなるペプチドにまで分解されて主に小腸で吸収されます。つまり、すっぽんを食べることによりコラーゲンが直接肌に送られて、そのまま艶(つや)や張りをもたらすわけではないのです。

 事実、今のところ食品から摂取したコラーゲンが人体において美容効果を発揮するという信頼性の高い証拠は多くありません。

〈と、“驚愕(きょうがく)の真実”を明かすのは女子栄養大学の加藤久典教授だ。

 分子栄養学を専門とし、食と栄養、遺伝子と栄養について長年研究を続けてきた加藤教授の「食哲学」は至ってシンプルである。

「バランスの良い食生活こそが健康の根幹を支える」

 すなわち、“特効薬”のような食品は存在しないというわけだ。

 しかし、私たちは「コラーゲン神話」のような誤った食の情報に振り回されている感が否めず、それはややもするとバランスの良い食生活を阻害することにつながりかねない。

 そこで加藤教授が、10個の「科学的に正しい食生活」を指南する。〉

海藻は抜け毛、白髪に効果ナシ?

 美肌を意識してコラーゲンを多く摂取しようと心掛けている人は特に女性に多いでしょう。一方、男性で気にする人が多いのは薄毛や抜け毛ではないでしょうか。これに白髪も加えて、「髪」のことが気になる人の中には、海藻を積極的に食べるようにしている人が見受けられます。

 見た目が黒っぽく、またフサフサしているイメージのある海藻はいかにも髪の毛に良さそうですが、海藻を食べると抜け毛や白髪に効果があるという明確な医学的根拠は実は全くありません。

 髪の毛はタンパク質でできていますから、抜け毛や白髪を気にするのであれば、むしろ海藻ではなくタンパク質を多く含んだ肉などの食材を取ったほうが効果は期待できるでしょう。ただし、ビタミンやミネラルが不足しがちな方は、海藻中のそういった成分が良い方向に働く可能性は否定できません。

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