マイナ事業で荒稼ぎするパソナと竹中平蔵氏 30年前の写真で「デタラメカード」が発行される問題も…役所の担当者は「上司が急かすから」

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マイナ関連業務を受注するパソナ

 肥え太るといえば、ここ20年ほど、政策の裏に必ず現れ、それを商売に利用してきた“政商”の存在もチラついている。あの竹中平蔵氏が、この一大国家事業にノータッチであるわけはもちろんない。

 竹中氏がかねてデジタル政策を推進し、かつて総務大臣―副大臣と上司―部下の関係にあった菅義偉総理(当時)にもデジタル庁設立をアドバイスしたのは知られた話。

 竹中氏自身、ここ10年で政府の「産業競争力会議」「未来投資会議」「成長戦略会議」のメンバーを歴任。岸田政権においても「デジタル田園都市国家構想実現会議」の構成員の一人であるが、これらは皆、マイナ政策を推進してきた会議体なのである。

 一方で、竹中氏は昨年8月に退任するまでの14年間、大手人材派遣会社「パソナグループ」の取締役会長の座に就いていたのもまた知られた事実。

 パソナのHPを見ると、事業のひとつに「官公庁・自治体向け業務委託サービス」を挙げ、「国の政策に関連して緊急的または臨時的に発生する大規模アウトソーシング」を引き受けると説明し、〈マイナンバーカード交付業務をはじめ、多数の受託実績を有しております〉と記している。要は、自治体がマイナ事業に取り組む際、人手不足を補うために外部に委託する「コールセンター」や「通知カード返戻対応」「個人番号カード交付通知書発送」などの業務を受注しているのだ。

3年間で2億4千万円

 ではこの事業で、彼らは一体、どれだけ潤っているのか。

 同社に聞くと、

「個別案件ごとの開示を行っていないため、回答を差し控えさせていただきます」

 と詳細は明かさないが、

「当市には六つの区役所と市民センターが一つありますが、その窓口業務の一部をパソナに委託しています」

 と言うのは、千葉市の区政推進課だ。

「現在20人の派遣を受けています。業務の内容は申請サポートや必要書類の確認など。最初の契約は一昨年で、以来3年間で計2億4千万円を支払っています」

 これは千葉市1市での額である。もちろん受託しているのは同市だけでないだろうから、やはり川上で政策を進めながら、同時に川下で関連事業を自らの関係先が受注する――竹中氏の振る舞いは「我田引水」と言われても仕方ないのだ。

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