マイナ事業で荒稼ぎするパソナと竹中平蔵氏 30年前の写真で「デタラメカード」が発行される問題も…役所の担当者は「上司が急かすから」

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デジタル庁の構造的な問題

 岸田政権のマイナカード政策迷走は果てが見えない。

 マイナポイント付与という「アメ」、従来の保険証を廃止して一体化させるという「ムチ」で交付数は現在、人口の75%近くに当たる9200万枚にまで達しているものの、5月以来、

〇コンビニで住民票の写しなどの交付を受けようとしたら、別人のものが発行された

〇マイナ保険証に別人の医療情報が誤って登録されている

〇公金受取口座が別人のマイナンバーに登録される

〇マイナポイントが別人に付与された

 といったトラブルが次々報道されたのは周知の通り。

 国民の不安は高まり、各報道機関の世論調査でも内閣支持率は続々下降。NNNと読売新聞の調査では、41%と前回から15ポイントも急落する始末だ。岸田総理の解散戦略も練り直しを迫られるなど、政局にまで波及している。

 これらのトラブルについて、デジタル庁の河野太郎大臣は、システム業者や健保組合の担当者といった現場レベルのミスを強調。予定通り改正マイナ法を成立させ、保険証の廃止を決めるなど強行突破を図るが、そこには彼らが口にしない不都合な事実もある。

「一連のトラブルには、デジタル庁の抱える構造的な問題があると思います」

 と述べるのは、経済ジャーナリストの磯山友幸氏である。

「デジタル庁は民間のデジタル人材を積極的に登用し、マトリックス型と言って、“縦”だけでなく、プロジェクトごとの“横”のつながりを強化した組織を構築しています。しかし、そのために情報共有が不十分な面があり、かなり前にトラブルが認識されていたにもかかわらず、改善が遅れてきた。こと現場のミスで済ませていい問題ではありません」

 逆に、それで済ませていてはまた新たな問題が起きるというのである。

「民間出身者はボケーッと見ているだけ」

 デジタル庁は他省庁からの出向者に加え、民間出身者も3分の1程度含む、霞が関としては異例の組織であることを売りにしているが、

「正直、民間出身の役人に、デジタル化のために命を懸けます、みたいな気概は感じられませんでした」

 と、デジタル庁の元最高幹部の一人が言う。

「チームより個を重んじる感じで……。何かイベントがあるときに走り回っているのは各省庁から出向している官僚たちで、民間出身者はボケーッと見ているだけ。そもそも、庁内でのやり取りもリモートばかりで、コミュニケーションが取れているのか不安でした。その姿を知っているからこそ、今回の一連のトラブルについても、民間出身者がどれだけ自分事としてそれを捉えているかは不明です」

 というから、起こるべくして起こった、極めて根深いトラブルともいえるのである。

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