【広末涼子】早大入学が人生に大きな影、映画製作発表でナゾの涙…16歳から今も変わらない無垢と脆弱さ
引きずり続ける早大入学問題
高3になった広末は初めて大きな試練に遭う。1998年11月、自己推薦入試で早稲田大学の教育学部国語国文学科に合格した途端、猛烈に叩かれた。早大側が認めた正規合格なのに非難され、広末の心は相当痛んだはずだ。
世慣れていて芸能人意識が強い人なら「自分は注目の的だから仕方がない」と割り切れたかも知れない。だが、広末はそういうタイプではない。早大第二文学部西洋史学専修を次席で卒業した吉永小百合(78)にどうしたらいいか相談した。引退まで考えた。
広末はあの騒動をいまだ引きずっている。『ヒロスエの思考地図 しあわせのかたち』にも「マスコミは私の受験を面白おかしく、ワイドショーのネタとして取り上げたいだけなんだろう」と書いてある。思い出の苦さを物語る。
夫のキャンドル氏は6月18日の記者会見で「彼女は芸能界に若くして入り、今より強烈なプレッシャーや強烈な出来事があった。真面目で優等生だった彼女の心が、壊れたんだと思います」と語った。強烈なプレッシャーや出来事の1つが早大入学問題なのは間違いない。
広末の言動の一部に世間が首を捻るようになったのは大学入学後なのだ。高校時代はごく当たり前の学生生活を送っていた。早大受験と入学は広末の人生に影を落とした。無垢な分、傷は深かったはずだ。
早大2年次だった2001年7月には、タクシー料金の不払い騒動を写真誌『FRIDAY』(講談社)が伝えた。広末は交際中とされた金子賢(46)と東京・西麻布の飲食店で遊興したあと、タクシーに乗り、そこからフジテレビの連続ドラマ「できちゃった結婚」のロケ地である千葉県白浜町に向かった。距離は100キロ以上。その運賃約4万円を支払わなかったと報じられた。
この年の広末には、世間の耳目を集める言動が多かった。同年5月、映画の製作発表中に突如として泣き出す。作品はジャン・レノ(74)とダブル主演した日仏合作映画「WASABI」。取材陣の1人が「感激の涙か?」と問うと、広末の返答は取材陣の想像と違った。
「夢をかなえることと、自分を守ってくれる人がいること、そういう人がいるから負けてはいけないなと思ったり。でも、こういうことは勝ち負けではないと思ったり」
言いたいことが分からなかった。何か悩みがあるのか、あるいは心が疲れているのか、そう思わせた。
この一件の収束に当たったのは、広末の所属事務所「フラーム」の井上義久社長だ。芸能界の振り出しが大手モデルプロダクション「SOSモデルエージェンシー」であるためか、女性のマネージメントに長けており、1998年に広末と2人で立ち上げた会社を急成長させた。今では戸田恵梨香(34)、有村架純(30)ら多数の売れっ子を擁する準大手プロである。
井上社長も、広末が無垢で脆弱さがあるのは当初から分かっていたはず。だから育てるに当たっては崖から突き落とすようなことはせず、徹底的に守った。
2002年1月に行われた「WASABI」の公開記念会見では、広末の言動について「奇行」などと報じたマスコミの出席を許さなかった。記者を選別した。情報を広く伝えたいはずの記者会見で、記者の選別は珍しく、井上社長が広末を庇護しようとする姿勢が表れていた。
当の広末は会見場に何食わぬ顔で現れ、製作発表会見でのナゾの涙の理由について問われると、「あれは喜びの涙」と悪びれずに答えた。あらかじめ記者を選んでいることもあり、厳しい質問は出ず、この問題は収束した。
井上社長は広末に好意的なマスコミをかなり厚遇した。一方でネガティブな報道をしようとしている雑誌があると、編集部に自ら出向き、記事内容について交渉を行うこともあった。
本人はどこまで意識しているか分からないが、広末のイメージが一定のレベルで保たれてきたのは、井上社長の存在があったからだと言っていい。
広末は2003年にモデルでデザイナーの岡沢高宏氏(47)と結婚したが、婚姻中の2007年に別の男性との交際を女性誌に報じられた。すると広末は名誉毀損で訴え、勝訴した。訴訟を取り仕切ったのは井上社長であり、広末を守る姿勢をいささかも崩さなかった。ほかにも雑誌を相手取った訴訟を起こしている。
問題の根本的解決作は
だが、広末とキャンドル氏が2010年に結婚してから3年後の2014年、『女性セブン』(小学館)が彼女と佐藤健(34)の不倫疑惑を報じると、対応が異なった。不倫を認めなかったものの、今度は訴えなかった。
広末が佐藤のマンションに入る写真を撮られたためか、それともキャンドル氏の“介入”で否定しきれないと考えたからか。6月18日の会見でキャンドル氏が指摘した「過去の不倫」の相手は、佐藤と目されている。
いずれにせよ、井上社長が広末を庇いきれなくなっているように感じられた。なにしろ、1つの問題が収まり、しばらく時間が過ぎると、また新たな問題が浮上するといった状態だったからだ。
CMとドラマでデビューしてから28年。広末の女優としての評価は高まった。今年2月には演技派の証である「2022年 第96回キネマ旬報ベスト・テン」の助演女優賞を受賞した。一方で本人の内面は若いころから変わらず、無垢で芸能人意識が希薄なままだから、騒動や問題がやまず、ここにきて大きなスキャンダルを引き起こしてしまったのではないか。
ダブル不倫を含む諸問題を根本的に解決する方法は、広末が変わることだろう。
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