“味変ナッツ”に“信州赤系米みそなすスナック”… 尖りすぎ「プライベート・ブランド」3.0の新たな流れとは

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 イオンは6月21日から、PB「トップバリュ」から“ケーキ風ヨーグルト”や“一度に食べるとキャラメルマキアート味になるナッツ”など4つの新商品を発売する。罪悪感なく口にできるギルトフリーかつ健康志向のラインナップで、ターゲットはずばりZ世代だという。

「健康志向でZ世代に訴求という点では、6月20日からセブン-イレブンで展開している『Cycle.me』のコンセプトにも似ています。こちらは、“朝に良い食物繊維入りのチョコバー”や“夜にリラックスできるアーモンド”といった時間栄養学に基づいたラインナップで、お洒落なグレーのパッケージで販売されています。ブランドこそ三井物産発の『Cycle.me』ですが、いずれもセブン限定の商品となっています。24時間営業を基本とするコンビニのコンセプトにも合っています」

 とは、マーケティングアナリストの渡辺広明氏。健康食品で若者訴求、とはどういうことか。

「コスパ、タイパ(タイムパフォーマンス)に通じる感覚かもしれませんが、今の若い人は価格に対する『価値』に敏感。ナッツやチョコバーにしても、ただ美味しく食べられるだけでなく、さらに健康的であるというプラスアルファに価値を見出す、という点に注目したわけです」

PB1.0、2.0そして「3.0」

 PBの歴史を繙けば、百貨店の大丸が1959年に売り出した紳士スーツ「トロージャン」がその最初だとされる。70年にはテレビの値引きをめぐり松下電器と対立したダイエーがPBカラーテレビ「BUBU(ブブ)」を発売するといった動きがあったが、当時は高度成長期。消費者がまだ価格に敏感でなかったことも手伝い、いずれのPBも浸透はしなかった。

今日に続くPBの流れでは、まずは80年代に西友のPBとして始まった「無印良品」や、ダイエーの食料品日用品PB「セービング」、衣料品の「愛着使用」などが挙げられる。94年に立ち上がった「トップバリュー(当初は音引き表示だった)」はイオングループ内に乱立していたPBの統一をはかるために始まっている。

 そして2010年には新たな流れとして、セブン系列のPB「セブンプレミアム」に高級ライン「セブンプレミアムゴールド」が投入された。代表商品の「金の直火焼ハンバーグ」は1億個以上を売り上げている。

「80年代のPBは、メーカーが販売するナショナルブランド(NB)に対抗する、お得な商品としてPBが展開されました。これを『PB1.0』とすれば、次の『セブンプレミアムゴールド』は、お得かどうかだけではなく、みんなが欲しい・食べたいと思うようなPBの形を示した『PB2.0』の先駆けでした。セブンに追随するような高級PB路線を各社がはじめたほか、ハーゲンダッツでも特定のコンビニチェーンだけの限定味などを展開する“ナショナルプライベートブランド(NPB)”や、有名ラーメン店と食品メーカー、小売店が協力しカップ麺を作るなど“トライアングルPB”といった動きも現れたのが特長です」(渡辺氏)

 そして、冒頭で触れた若者訴求などのPBが「3.0」だと渡辺氏はいう。

「PB3.0の特長は“マスではない、特定のターゲットを設定して売る”という点にあります。トップバリュもセブンもZ世代をターゲットにしていますが、これは現在の顧客層の年齢が高く、若返りを図りたい各社の事情があるためでしょう。別にZ世代でなくても、特定の層を狙うPBであれば『3.0』だと言えます」

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