リンゼイさん事件「市橋達也」獄中の日々 元受刑者が明かす“ファンから多額の差し入れ”に“運動会では大声援”

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1000番台の意味

 刑務所内では称呼番号が使われる。懲役10年以上は「1000」番台。山内さんは懲役2年だったので「200」番台だったという。だから市橋受刑者は「1000」番台だった。

 無期懲役は、仮釈放が認められると社会に復帰して通常の生活に復帰することも可能である。しかし、無期懲役囚の仮釈放はそう簡単に認められるわけではない。刑法28条によれば、刑の起算日から10年が経過し、受刑者に改悛の状があれば仮釈放が認められることになっている。しかし、実際の運用では、10年で仮釈放が許されるケースは事実上ない。

 現在、有期懲役の上限が30年であるため(刑法14条2項)、それより重い刑罰である無期懲役の受刑者を30年以内に仮釈放することは適当でないと考えられているため、法務省保護局長の「無期刑受刑者に係る仮釈放審理に関する事務の運用について」という通達によれば、無期懲役の受刑者の仮釈放については、刑の執行開始から30年が経過した時点で初回の審理を開始するものとされている。2021年に仮釈放が許可された無期懲役の受刑者数はわずか9人で、同年末には1725人が無期懲役刑で服役していた。従って1年間に無期懲役からの仮釈放が許可される人の割合は、わずか0.5%でしかない。その平均収容期間は32年10ヵ月だ。

 市橋受刑者がもし仮釈放されるとしても、まだまだ遠き道だ。

 山内さんは釈放され、日常を取り戻した。明らかな濡れ衣だった。怒りは収まらないが、現在は収監前の仕事に戻ることができ、

「いまは目の前の仕事に集中したい」

 と、失われた1年半を必死で取り戻している。

ノンフィクションライター 青柳雄介

デイリー新潮編集部

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