リンゼイさん事件「市橋達也」獄中の日々 元受刑者が明かす“ファンから多額の差し入れ”に“運動会では大声援”

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あの市橋達也が

「夜、寝るときなんか、川越では衣類を4枚重ね着していても寒かったけど、長野では下着のシャツとパジャマの2枚だけでまったく寒くなくよく眠れた。そして何より温かい飯が嬉しかった。温かい飯は家で食べて以来だから本当に嬉しかった。白米と麦が7対3くらいの割合でちゃんと食える飯だった」

 刑務所は、犯罪傾向の進んでいない者、主に初犯者を収容するA級と、再犯や累犯、反社会的勢力など、主に犯罪の進んでいる者を収容するB級に分けられる。暴力団関係者などは初犯であっても再犯と同等のB級に分類されることがある。山内さんが収容された長野刑務所は、2010年から収容分類B級が収容対象に加えられた。そのため山内さんのような短期刑の受刑者のみならず、長期刑の受刑者も収容されている。

 その中の一人に、あの市橋達也受刑者(44)がいたという。

 市橋受刑者は2007年3月、千葉県市川市の自宅マンションで、英会話学校の外国人講師リンゼイ・アン・ホーカーさん(当時22)を絞殺する事件を起こした。警察の制止を振り切って裸足のまま逃走した、市橋容疑者の逃亡劇は約2年7ヵ月におよび、社会を震撼させた。各地を転々とし、整形を繰り返したり、沖縄の無人島で自給自足生活をしたりしながら逃げ回るなど、過酷な逃亡生活を送って、2009年11月に通報を受けた警察によって大阪南港フェリーターミナルで逮捕された。2012年、一連の事件の裁判が終わり、市橋受刑者は無期懲役囚となり現在、長野刑務所に収監されているのだ。

市橋、頑張れ

「市橋くんは10工場にいた。そこが何をする工場かは定かではないけど、その10工場にいた奴が転業で俺のいた洗濯工場に来たんです。詐欺で懲役4年のそいつの話だと、市橋くんは他の人間とはあまり関わりを持たないように注意していたらしい。気を許した人とだけ付き合っていたという。同じ10工場でも、話しかけても気を許していない人間だと返事もしない状態だったんだって」

 ここ数年はコロナの影響で中止になっているが、刑務所内では年1回の運動会が開催される。

「俺がいるとき運動会はなかったけど、市橋くんは、足がバカ速いんだって。リレーなんかも無茶苦茶速くて他を寄せつけずごぼう抜きにするくらいだそうだよ。市橋くんが走るときなんか、“市橋、頑張れ”なんて声援がたくさん飛ぶくらい」

 刑務所には食事を作る炊場(すいじょう)工場、刑務所内を掃除する内掃工場など、受刑者が生活するために必要な作業をする「経理工場」がある。洗濯工場もそのひとつで、洗濯の他にボタンを付けたりする裁縫といった作業も行っている。山内さんは洗濯工場で、受刑者の下着、シャツ、靴下、工場着の洗濯、裁縫などを担当していた。

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