歴史的な“大不漁”が続くサンマに「禁漁」は必要ないのか? 国際協議が手ぬるい「規制策」に終始する理由

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漁獲枠は“前年比25%減”になったが

 梅雨真っ只中のいま、サンマの話題にはまだ少し早いのだが、例年7月中旬ごろには、北海道の東沖で小型船による漁がスタートする。年々厳しさを増すサンマ漁――。近年は水揚げが振るわず、値段も高いばかりか、商店に並ぶサンマは小さくてやや味気ない。脂が乗った大ぶりのサンマはここしばらく「お預け」となっている。こうしたなか、日本や中国、台湾などの漁業国に今シーズン与えられたサンマ漁獲枠は、昨年の総漁獲量の2.5倍。実際に枠いっぱいまで獲らないにしても、もっと厳しく漁獲枠を抑制すべきではないか。【川本大吾/時事通信社水産部長】

 今年3月、サンマ漁業国の今年の漁獲枠が、北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次会合で決定した。日本や中国、ロシア、韓国、台湾など、9ヵ国・地域が加盟するNPFCは、公海を中心とした2023、24年の総漁獲枠を、22年の33万3750トンから25%削減し、25万トンとすることで合意した。ちなみに、22年の総漁獲量は、各国合わせて10万トンほどだという。つまり、今シーズンの“漁獲枠”は、昨年の“漁獲量”のおよそ2.5倍に相当するわけだ。

 今回、協議の焦点となったのは、公海での漁獲枠。近年、実際にサンマが漁獲されているのはほとんどが公海で、日本やロシアなどの200カイリ内の漁獲は、わずかな量にとどまっている。主漁場となる公海での総漁獲枠は15万トンで、22年の19.8万トンから、こちらも25%近く削減された。

 さらに、漁船が操業する隻数や期間に関する規制策も合意に達し、「不漁が続くサンマの資源回復へ一定の前進」と、政府関係者や主要な漁業団体幹部からは、おおむね安堵の言葉がこぼれた。

 ただ、「なぜ実際の漁獲量の数倍もの漁獲枠が設定されるのか」、「サンマが日本に近付く前の5月ごろ、外国漁船が先取りするのをなぜ禁止しないのか」など、以前から疑問の声を上げる水産関係者は少なくない。

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