「小沢一郎」が語る“細川連立政権”秘話 「自民党を否定しているんじゃない。一度、地に落ちて引き締め直せばいいんだ」

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選挙の票は“単純加算”では分からない

――立憲はもちろん、野党全体にそういう空気がまだ醸成されていない。

小沢:現状で満足するという日本人的な考え方。万年野党のゆでガエルさんだと、もうジリ貧で立憲だってどうなるか。維新だって一党では政権取れないよ。今はもう、強気でやっていいけど、最終的に選挙の時は小が大を呑む気持ちで立憲を包み込まないと、自民党には勝てない。だから、少なくとも維新と立憲のリーダーが志を持って見識ある行動を取れば次の選挙は政権交代できる。

――僕の取材では、小沢さんが立憲や維新の議員とそういった話をしていると聞いている。

小沢:選挙ではみんな単純加算だけで終わっちゃう。選挙の票は、維新いくつ、立憲いくつ、それをプラスするとこうだと。だからいい線行くとか行かないとか。ところが、そうじゃない。これが協調することによって、国民の間に政権交代の期待感が出てくる。そうすると投票率が増える。投票率の増えた分はほとんどが政権交代への期待票になる。2009年が証明してる。

――1足す1は2ではなく、維新と立憲が組んだら1足す1が200とか300になる。

小沢:そうそう。野党候補を一本化すれば300議席以上取れるよ。それを何度も何度も言ってる。うちの執行部なんて150人しか候補者立てないと言った。維新は元気いいから、全選挙区立てると。いまはうちもそう言ってなきゃいけない。それで最後に調整すりゃいいわけだ。もうほんとに……。

「一度古いものを潰さなきゃいかん」

――岸田政権へ国民の支持は決して高くない。野党が一つになればチャンス。

小沢:もう一回、野党が天下をとって。そうすると自民党が崩壊する。でも私は、自民党を否定してるんじゃないんだよ。一旦壊れることで、自民党的、すなわち日本的な政党が、もう一度、引き締め直して立ち上がればいいんだ。一度古いものを潰さなきゃいかん。そうすると壊し屋、壊し屋って言われるけど、古い家を壊さなきゃ新しい家が建たないでしょ。そこがまた日本的なとこなんだよ、壊し屋、壊し屋って。じゃあ何百年も同じ家に住んでろって。

――小沢さん、民主党が政権交代した直後に、僕の番組で「自民党に頑張ってほしい」と言って驚いた。つまり、政権交代ってそういう意味なんだと。だから、民主党はもちろん頑張るけど、一回地に落ちた自民党がしっかり引き締めて再生し、政権交代を争う。それが夢なんだって。

小沢:だから、一度、自民党を潰したら、また自民党に戻んなきゃいけないかなとか思ってる。立て直しのためにね(笑)。あれから30年か。自分じゃ全然年取った気はしないんだけどね。でも、でこぼこ道は苦手。危なくてね(笑)。

鈴木哲夫(すずき・てつお)
1958年生まれ。早稲田大学法学部卒。テレビ西日本報道部、フジテレビ政治部、BS11報道局長などを経て2013年からフリー。永田町取材30年のほか防災もライフワーク。著書に「最後の小沢一郎」(オークラ出版)、「期限切れのおにぎり~東日本大震災の真実」(近代消防社)など多数。

デイリー新潮編集部

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