息子溺愛、老老介護疲れ… 猿之助事件の背景に「歪な母子関係」か
家名を守らねばという義務感
去年、週刊新潮に性加害問題を報じられた、猿之助さんのいとこの香川照之さん(57)が映画やテレビの活動をできなくなったことも脳裏に浮かんだのではないでしょうか。不祥事の影響は長引くと考えられますし、香川さんは乗り越えられたけど、「自分たちには無理」と思ったかもしれない。
また、延子さんは女性セブンの報道で息子の裏の顔を初めて知り、
「立派に育ててきたはずの自分の息子が、そんなことをするなんて信じられない」
と、強いショックを受けた可能性もある。
絶望とともに、「自分がこんな子にしてしまった」と自己否定するような気持ちもあったかもしれません。
京都生まれの延子さんは、京友禅の図案家をお父さんに持つ家庭で育っていますよね。その上、家名を重んじる歌舞伎の家に入っているわけですから、必要以上に家名を守らないといけないという義務感に駆られる傾向にあったとしても不思議はありません。
延子さんにしてみれば、段四郎さんと結婚するということは、ある意味で出来上がったレールを走ることだった。息子も役者として成功し、当たり前のように順調に来ていたのに、突然のスキャンダルに見舞われ、猿之助さんがこれまで覆い隠していたことも含めて一気に問題が噴出し、愕然としたという感じじゃないでしょうか。
それまで順風満帆だっただけに精神的ダメージは大きく、混乱してしまった、というのは想像に難くありません。
孤立した家庭環境
息子は間違いなく、由緒ある澤瀉屋(おもだかや)の看板に傷をつけてしまった。これ以上、家名を汚す前に、いっそ家族みんなで死んでしまおうという心理が働いた。猿之助さんには奥さんがおらず、延子さんには苦労を分かち合える近親者がほとんどいなかった。ある意味で、孤立した家庭環境だったことも、事件の大きな要因ではないでしょうか。
延子さんは息子の問題を、自分自身の問題でもあると、同一化して捉えていた可能性もある。そういう一家心中につながるような特異な“母子関係”があったとも考えられます。
少なくとも、猿之助さんに奥さんや子供がいれば、延子さんも「自分がどうにかしなきゃ」と思い詰めることはなかったはず。やはり、孤立した特殊な家庭環境が、事態を深刻化させた面は否定できないように思うのです。