オリラジ中田騒動 「松本人志への提言」を現役バラエティ制作者はどう見たか

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当事者以外の声

 動画が流れた5月29日のうちに反発したのが粗品の相方・せいや(30)。「真っ直ぐ勝負してないウンコみたいなやつが相方の名前使うな 中田」とツイートした。「真っ直ぐ」とは漫才のことのようだ。

 翌5月30日には松本も反応。中田の名前は挙げず、「テレビとかYouTubeとか関係なく2人だけで話せばいいじゃん。連絡待ってる!」とツイートした。

 お笑い界以外からの発言もあった。絶対的実力者の松本が直接的に関係する騒動だったからだろう。また、中堅の中田が松本に意見した特異性も目を引いたからではないか。

 同31日、ホリエモンこと堀江貴文氏(50)は自身のYouTubeで、「(松本は)凄くいい人」と断った上で、「お笑いは、僕は正直、面白くないなと思っちゃったし。映画も『うーん』っていう風に思ってしまった」と語った。

 6月2日、キングコングの西野亮廣(42)はブログにこう書いた。

「ここは一般社会ではなくて、エンタメ1丁目1番地です(中略)『力のある人間が独占することができる』というのは、この場所においては、とても健全な状態だと思っています」(西野)

 翌3日、NSC(吉本総合芸能学院)1期生で松本と同期の「トミーズ」のトミーズ雅(63)雅が、MBS毎日放送の情報番組「せやねん!」(関西ローカル)でこう発言した。

「土俵がちゃうねん。日本背負っている人と、(登録者が)500万人のYouTubeを背負ってる人やろ。一緒なわけないやないかい」(トミーズ雅)

 同じ3日には、MBSラジオ「ヤングタウン土曜日」に出演した明石家さんま(67)が「賞レースの審査やりすぎやって言われても、テレビ番組やからな」と語った。松本がいないと番組として成立しないことを示唆した。

 5日、松本派を自認する「チョコレートプラネット」の長田庄平(43)がYouTubeで、「中田敦彦は共演NGでやらせていただこうかなと思っております。あの人が、もうがっつり謝ってくるまで、やめません」と宣言した。

 8日、当事者の中田が10日ぶりにYouTubeチャンネルに登場した。相方の藤森慎吾(40)も一緒で、タイトルは「松本人志氏提言事件後」。藤森は中田に対し、松本のツイッターでの呼び掛けに応じ、会うのかと問うた。これを中田は「直接2人で会ってもそんなに面白くはないと思うんですよね」と否定した。

「意見を交わすことに意味があるんじゃなくて。揉めているわけじゃないから。あくまで俺の思っていることを言いたいということだから。やいのやいのこれからも言いたい」(中田)

 中田は「これが俺の面白いなんだよなぁ。俺の真っすぐ勝負届け、と思っている」とも言った。自身が松本とそのシンパとは違う価値観を実践しようとしているのだろう。せいやの「真っ直ぐ勝負してない」という批判への反論でもある。

 この騒動はお笑いコンテストとその審査員というものを考えるきっかけとなった。中田は憎まれ役、嫌われ役になったが、議論を巻き起こしたという点は評価されても良いのではないか。

 一方、松本の現在の立場はこの程度のことではいささかも揺らがないはずだ。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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